結婚間近のある日、彼女の父親の態度が急変…いったいなぜ?
32歳のAさんは、都内に住む手取り23万円のメーカー勤務のサラリーマンです。3年間付き合っている5歳年下の彼女と、そろそろ結婚しようと考えています。先日は彼女の家を訪問し、彼女のご両親にも会うことができました。彼女の父親は残り数年で定年退職ということもあり、娘がAさんを紹介したことで「これで一安心」と、その日はとても喜んでくれました。
挨拶も済ませ、Aさんと彼女は結婚に向けて日に日に気持ちが高まっていましたが、そんなある日、突然彼女から驚きの一言を聞かされます。
「お父さんが、あなたとは結婚させたくないって言うの」
父親が引っかかった「奨学金返済」
Aさんははじめ、さっぱり理由がわかりませんでした。しかし彼女からよく話を聞いてみると、どうもAさんに「奨学金の返済があること」が父親の気がかりのようです。
彼女は、父親にAさんのことを「奨学金を借りて有名私大を卒業した頑張り屋さん」と話したことがあり、そのあたりから態度が変わり始めた、ということでした。しかし、Aさんが大学を出て奨学金返済を始めてから、すでに10年経ちます。
「楽ではないが、問題なく返済を続けてきたのに……。奨学金の返済があると結婚は難しいんだろうか?」Aさんは悩んでしまいました。
Aさんの「奨学金」の現状と返済スケジュール
奨学金にはいろいろな種類がありますが、Aさんが借りた奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)の「第二種奨学金」です。これは利子付きの貸与奨学金で、借入金額は400万円で返済期間は20年。現在、毎月約1万7,500円ずつ返済しています。
それほど大きな金額ではありませんが、都内での1人暮らしということもあって、日々の生活は余裕のあるものではありません。返済期間はあと10年もありますし、結婚して子どもができることを考えるとたしかに不安が襲いますが、彼女がかけてくれた「2人で頑張りましょう」という言葉が、Aさんの心の支えでした。
あとから聞いた話ですが、彼女の父親は「知人のお子さんが奨学金を借りて返済できなくなり、いまでも苦労している」という話を聞いていたために不安を感じたそうです。
そのお子さんは、正社員として働き始めるも職場が合わずに2年ほどで退職。その後、非正規職に就いたものの収入は当然低くなり、すぐに奨学金返済に行き詰まってしまい、保証人である親戚まで催促の電話がかかるようになったとのこと。
そんな話を聞くと、彼女の父親が奨学金に悪いイメージを持ってしまうのも頷けます。