コロナ禍からの回復で、日常を取り戻しつつある昨今。一方でコロナ救済がなくなり、今後増えるといわれているのが「家賃滞納」です。特に深刻なのが「高齢者」。家賃滞納の先に待つのは……みていきましょう。
東京23区・最低生活費12万円でも…「低年金」「預貯金なし」元会社員の独居老人「家賃さえ払えない」の絶望、悲劇的な末路 (※写真はイメージです/PIXTA)

家賃滞納で強制退去…もう住むところもない

総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、単身高齢者の持ち家率は84.3%。ひとり暮らしの高齢者6~7人に1人は賃貸派という状況です。

 

ただ高齢者の賃貸のハードルが高いことは、多くの人が知るところ。前出の『日管協短観』では不動産オーナーに対して「高齢者に対する拒否感」について尋ねていますが、23.7%のオーナーが「高齢者に対して拒否感あり」と回答しています。地域別では首都圏は「拒否感あり」が12.3%に対して、関西圏は52.9%。過半数を超えています。

 

賃貸契約の高いハードルに加えて、低年金に苦しむ賃貸派の単身高齢者。一度、家賃滞納状態となり、強制退去となったらどうなるのでしょうか。再び家を借りられる見込みはなく、ただ路頭をさまようだけ……そんな悲劇的な末路がみえてきます。

 

――そもそも、身の丈に合った家賃の安い賃貸物件に引越しをすればいい

 

そんな意見もあるでしょう。しかし引越し費用も工面できず、貸してくれるところも見当がつかない……まさしく八方塞がりの状態とはこのようなことをいうのでしょう。

 

家賃が払えないという状況になったら、どうすべきなのでしょうか。一番してはいけないのが「誰にも相談しない」ということです。

 

まず家賃滞納状態になる前に「支払う意志はある」ということを家主にいいます。そのうえで親族や連帯保証人に相談します。保証人もあてにならないとか、そもそも保証人もいないという場合は、市区町村の社会福祉協議会に相談して「公的融資制度」を活用したり、「生活困窮者自立支援制度」を利用したり、という方法もあります。まずは“声”をあげることが重要です。

 

しかし社会のなかで孤立しがちな単身の高齢者。声をあげたくても、あげる方法すらわからない、というケースは珍しくありません。そのためにも必要なのは地域で見守るということ。昭和的な“おせっかい”こそが、いま求められていることかもしれません。