単身高齢者「1ヵ月生活費平均15万円」を賄うために必要な年金額
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)』によると、老後の生活について「心配」と回答した単身者は79.2%。高齢者については60代で76.8%、70代で64.7%となっています。
心配の理由としては、高齢では「十分な金融資産がないから」が最も多く、60代では72.1%、70代では68.3%。続いて「年金や保険が十分でないから」で60代では64.4%、70代では61.5%。ほか「物価高騰」も60代、70代ともに3割ほどが不安の理由にあげています。
老後生活の中心となるのは年金ですから、暮らしていけるだけの金額を手にできていれば何ら問題はないはず。総務省統計局『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、65歳以上の単身世帯の消費支出は14万9,208円。年金から税金や保険料が15%ほど天引きされると仮定すると、17.1万円の年金収入があれば、平均的な生活費はまかなえることになります。
年金月17.1万円を手にするためには、現役時代、どれほどの給与を手にしなければならないのでしょうか。20歳から60歳まで社会人として働いた場合を考えてみましょう。
公的年金は、日本国民全員が対象となる国民年金(老齢基礎年金)と、会社員や公務員がプラスαで加入する厚生年金(老齢厚生年金)の2階建て。国民年金は「年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」で、厚生年金は加入期間が2003年3月までは①「平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数」、加入期間2003年4月以降は②「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」で計算できます。
2023年度国民年金は新規裁定者で年79万5,000円。そこから逆算すると厚生年金部分は年125万7,000円。この年金を手にするためには、平均標準報酬額は47万円が必要となります。つまり社会人として働いている間、平均して月47万円を手にしなければならない、ということになります。
ちなみにこの金額、賞与も含めたものになります。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、会社員の平均賞与は月収の2.84ヵ月分。そこから紐解いていくと、「平均月収38万円以上」の会社員であれば、年金17.1万円以上、つまり「年金だけで暮らせる」という勝ち組になれると考えられます。