退職金の平均給付額が激減しています。厚生労働省によると、1997年から2018年までの20年間で1,000万円以上も減少しました。退職金をアテにできないいま現役の世代は、老後破産の可能性が切実に高まっています。そこで本記事では、老後に向けて備えておくべき3つのポイントについてFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
20年で平均給付額「1,000万円減」の退職金…このままでは破産一択、いま現役の世代に待ち受ける“懐寂しい”惨めな老後【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

運用は自己責任…確定拠出型年金制度(DC)とは

(※写真はイメージです/PIXTA)
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退職金は先の表でもわかるとおり、長いあいだ勤めるほど金額は大きくなっていきます。しかし、現代のように転職する人が増えた時代には即しません。

 

そこで、退職一時金制度を見直し、その一部ないし全部を確定拠出年金(DC)に移行する企業も出てきました。企業側にとっては退職給付債務を減らせますし、従業員側にとっては転職しても継続運用し続けられる、といったメリットがあります。

 

また、企業の業績が悪化すると退職金を十分に受け取れない可能性もあり、万が一、企業が倒産すれば、受け取れる予定だった退職金がゼロになってしまうリスクもあります。しかし、外部積立てとなる確定拠出年金ではこのようなリスクを回避することができます。

 

そうはいっても確定拠出年金は従業員自らが運用を行う必要があります。そのため、必ず利益が出るとは限りませんし、運用結果によっては元本割れするリスクもあります。このように資産の増減も自己責任となりますため、金融知識が必要となります。さらに、受け取り方法の違い(一時金または年金)によっては税負担も変わってきますので、こうした仕組みについても理解しておかなければなりません。

まとめ:老後に向けて備えておくべき3つのこと

(※写真はイメージです/PIXTA)
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これまでの内容から現役世代が老後に向けて備えておくべきことをまとめます。

 

1.「退職金規程」の確認

退職金の出る会社は退職金規程が存在します。退職金規程は就業規則の一部ですから従業員は当然みることができます。退職金の支給条件や計算方法などが明記されていますので、必ず確認しておきましょう。

 

2.「住宅ローン」は老後の負担にならないように計画

退職金は、超低金利や終身雇用制度の崩壊により受取額が減っています。老後にまで住宅ローンが残らないように、住まいの購入時から意識した計画を行いましょう。すでに住宅ローンのある人は、定年退職時の残高を確認しておきましょう。

 

3.「確定拠出型(DC)制度」に移行した場合の運用に要注意

元本割れを意識しすぎて運用利回りが低すぎる運用を行うと、インフレ負けとなり、結果元本割れと同じ結果にもなりかねません。目標金額を設定し、意識した運用を心がけましょう。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表