暴落・暴騰時、「経験」に頼ったトレードをすると大損するワケ
FXでは、まれに1日で300pips以上動く急落や急上昇する相場があります。このような一方的な動きが生まれる要因のひとつに、思い込みに支配されたトレーダーの存在が挙げられます。根拠もなしに今後の相場の動きを予想するトレーダーの多くは、自分の経験を頼りにしてしまいがちです。
一方向への動きが加速するとき、相場では「過去に似たような動きをしたから今回も同じように動くだろう」という、思い込みによるポジションが多く溜まります。このようなポジションは、相場に対して深い理由があるわけではないので、比較的簡単に損切りに巻き込まれてしまいます。
普段なら止まるはず、という根拠のない思い込みをする人が多ければ多いほど、皮肉にも暴落・暴騰は止まりません。大衆の心理を上手く利用するプロトレーダーは、暴落・暴騰時でも経験則ではなく、実際に起きていることに着目してトレードしているので、ときに暴落・暴騰時でも利益を上げることができるのです。
上下の変動が小さいときのトレードでは経験則が通用することもありますが、相場の世界から退場者を出すような暴落・暴騰時には経験則は通用しません。経験則が通用しない環境であるからこそ、止まらない一方向への流れが生まれる、といっても過言ではありません。
無駄な損切りを防ぐには「思い込み」を排除しよう
誰でも思い込みや経験則を使って、日常生活に起こる問題を解決したことがあるでしょう。しかし、FXの世界では、ひとつの思い込みが取り返しのつかないような損失を引き起こす可能性があります。相場の世界では、日常生活での常識が通用しないことがほとんどです。そのため、普段の生活とトレードするときで、明確に思考方法を変えていく必要があります。
さらに、初心者トレーダーであればあるほど、含み損が膨らむと正常な判断能力が阻害され、ひとつの考えに固執してしまう傾向があります。このような状態に陥ると、間違っているとわかってはいるのに、一度自分のなかで立てた「思い込み」を強く信じて、ほかの戦略に移ることができなくなってしまいます。
多くの人の思い込みが否定される場面で、相場は暴落や暴騰を起こします。相場の流れについていくためには、誰よりも早く自分の思い込みに気づき、適切で合理的な判断をしていく必要があるでしょう。
清水 一喜
株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員