経済指標発表前後は相場価格が変動しやすいため、大きく利益を上げるチャンスでもあります。しかし株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏は、経済指標発表前後でポジションを持ち越すことのリスクを指摘しています。一体なぜなのでしょうか? 発表前に持ったポジションが偶然大きな含み益となった初心者の事例とともにみていきます。
「経済指標発表前後」の相場には要注意…「たまたま」大儲けした初心者FXトレーダーが撃沈するワケ【プロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

プロは重要指標前後にトレードしない

重要指標発表前後は、相場全体のボラティリティが高くなりやすく、場合によっては運良く大きく稼ぐことができるのは事実です。しかし、プロのデイトレーダーは、重要指標発表前後はトレードしないことを徹底しています。プロトレーダーは、不確実性が高まるトレードを嫌う傾向があるからです。

 

不確実性の高いトレードをしてしまうと、余剰資金を拘束してしまうリスクがあり、本当にチャンスが回ってきた場面で、ロットを張ったトレードができなくなってしまいます。プロのデイトレーダーは、指標予想などの推測を頼りにトレードするのではなく、指標発表後の動きに沿ってトレードしようとします。

 

自分のトレード方法が事実に沿ったトレードか、推測や憶測に沿ったトレードかどうかを確かめることが、プロトレーダーか初心者トレーダーかを測るための基準といっても過言ではありません。少なくとも、重要指標の発表でポジションを持ち越すトレーダーは、リスク管理の観点からプロトレーダーとはいえないでしょう。

必要なのは予測する力ではなく現実に対応する力

解説してきたように、プロトレーダーはチャートの推移をみて、事実に基づいたトレードを心がけています。未来のことは誰にもわからないため、FXにおいて、チャートの今後の動きを予測する力は初心者トレーダーが思っている以上に必要ありません。基礎がしっかりしているトレーダーであればあるほど、実際の値動きをみて売買判断する実戦的な能力が長けています。

 

また、現実に対応する力は、日々のトレードで培うことができます。現実への対応力は、日々のトレードのなかでも、特に自分の判断で売買することで養うことができます。売買判断を経済アナリストや投資系インフルエンサーに任せていては、いつになっても自分の能力を開花させることはできません。

 

まずは、現在のチャートを観察して、自分なりのシナリオを立ててみることが大切です。自分で考えることを習慣付ければ、重要指標発表前にポジションを持ち続ける、というリスキーな行動は取らなくなるはずです。そうすることで、無駄な損失を招くことも少なくなり、結果的にプロトレーダーのように毎月プラス収支を安定して残せるようになるでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員