2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が「5類」に移行し、マスクの着用ルールは緩和されます。そのなかで子どもや学校での着脱方針に多くの関心が寄せられています。 子育て世帯を対象に行った「マスク着用」に関して調査結果を紹介していきます。
小・中学生は、マスク着用をどう感じているか? (写真はイメージです/PIXTA)

3―マスクについて感じていること

1.全体~半数以上が「あつい、いきぐるしいからつけたくない」

まず、マスクをつけることについて感じていることとして、つけたくない理由とつけたい理由を提示して、あてはまる意見をすべて選んでもらった。結果を、マスクをつけたくない理由とつけたい理由に分けて【図2】に示す。

 

つけたくない理由として、もっとも高かったのは、「あつい、いきぐるしいからつけたくない」で全体の52.9%を占めた。ついで「めんどうくさいからつけたくない」が28.3%を占めた。つけたい理由としては、「ほかのひとからびょうきがうつりそうだから、つけたい」が27.7%、「みんなつけているから、つけたい」が25.1%と、2割を超えた。

 

まだ暑さが残る10月だったこともあり、マスクによる感染予防効果に期待している子でも暑さや息苦しさを感じていたと思われる。

 

親の回答と比較すると、子に対する質問の選択肢は完全には親に対する質問の選択肢と合致しているわけではないが、「あつい、いきぐるしいから、つけたくない」が最も高く、半数を超えていることや、つけたくない理由を1つでも選択した子が、つけたい理由を1つでも選択した子を上回ることで親の回答と同様の傾向を示した。

 

【図2】
【図2】

 

【図3】に示すように、回答パターンをみると、つけたくない理由のみ選択した子は34.1%、つけたい理由とつけたくない理由が混在している子が32.9%、つけたい理由のみ選択した子は23.8%で、マスクについての感じ方の意見は割れている。感じ方の意見が割れている点も親の回答と同様である。つけたくない理由のいずれか1つでもあてはまる子は全体の67.1%、つけたい理由のいずれか1つでもあてはまる子は全体の56.8%だった。つけたくない理由のいずれか1つでもあてはまる子の割合は親(65.4%)より高く、つけたい理由のいずれか1つでもあてはまる子の割合は親(60.2%)より低い。

 

【図3】
【図3】

 

2.男女・学年別 ~マスクについて感じていることには男女差、学年による差がある

次に、マスクについて感じていることを男女・学年別に示したものが【表1】である。性別にみると、男子は「めんどくさいから、つけたくない」、女子は「はずかしいから、つけたい」が、全体と比べて高い。学年別にみると、中学生では「はずすとまわりのひとにいやがられるから、つけたい」が全体と比べて高い。

 

【表1】
【表1】

 

3.コロナ感染を心配している子で「つけたい」

続いて、自分のコロナ感染を心配しているか別に、マスクについて感じていることを示したもの【表2】である。自分のコロナ感染を心配している子は全体の66.2%だった。

 

【表2】
【表2】

 

自分のコロナ感染を心配しているかどうかでみると、「つけたくない」に1つでもあてはまる子の割合は、心配している子でも、心配していない子と同程度だった。「つけたい」については、コロナ感染を心配している子では、「ほかのひとからびょうきがうつりそうだから、つけたい」「みんなつけているからつけたい」「はずすとまわりのひとにいやがられるから、つけたい」「ほかのひとにびょうきをうつしそうだからつけたい」「はずかしいからつけたい」が全体と比べて高く、心配していない子を上回る項目が多い。

 

4.「つけたくない」理由しか選択していない子でも9割近くがほとんどつけている。親がマスクをつけている頻度より高い可能性。

マスクをつけることについて感じていることについて、「つけたくない」理由と「つけたい」理由を示したが、実際にマスクをつける頻度はどの程度違うのだろうか。子が外出時にマスクをつけている頻度を親に回答してもらった結果を【図4】に示す。その結果、全体では60.1%が「常につけている」、32.0%が「ほとんどつけている」だった。ほとんど以上の頻度でつけている子は、これらを合わせて92.1%にのぼる。つけたい理由のみを回答した子では、それぞれ70.9%、26.7%で、合計97.6%がほとんど以上の頻度でつけていた。一方、つけたくない理由のみを回答した子では、それぞれ52.5%、34.2%で、ほとんど以上の頻度でつけている子は86.7%だった。つけたくない理由しかない子でも5割以上が「常につけている」で、計9割近くがほとんど以上の頻度でつけていることから、つけたい理由をもつ子と比べて低いものの、かなりの高頻度と言えるだろう。

 

【図4】
【図4】

 

また、親が外出時にほとんど以上の頻度でつけている割合は全体で89.1%(つけたくない理由のみで82.4%、つけたくない・つけたい混在で91.4%、つけたい理由のみで93.3%)だった。子のマスクをつける頻度については、親が回答しているため、直接比較をするには注意が必要ではあるものの、子がマスクをつける頻度は、親よりも高い可能性がある。