2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が「5類」に移行し、マスクの着用ルールは緩和されます。そのなかで子どもや学校での着脱方針に多くの関心が寄せられています。 子育て世帯を対象に行った「マスク着用」に関して調査結果を紹介していきます。
小・中学生は、マスク着用をどう感じているか? (写真はイメージです/PIXTA)

1―はじめに

マスク着用について、国は、屋外では原則不要、屋内でも距離が確保でき会話をほとんど行わない場合は不要との見方を、2022年5月に示し、場面に応じた適切な着脱を促している。あわせて、子どもに対しては、2歳未満の子どもについてはマスクを推奨しておらず、2歳以上就学前の子どもについても着用を求めていない。着用する場合には、保護者や周囲の大人が子どもの体調に十分に注意をしたうえで着用するよう呼び掛けている。

 

一方、就学児(小学生から高校生段階)については、屋外や体育の授業中、登下校時、および屋内でも人との距離が確保でき、ほとんど会話がない場合は不要としているが、屋内では、人との距離が確保できない場合や会話がある場合にはマスク着用を推奨している。

 

しかし、筆者が見る限りは、登下校中(徒歩通学)の子ども達もほとんどがマスクをしており、マスク着用は続いているようだ。これは、学校のルールなのか、家庭の方針なのか、感染不安による自発的なものなのかはわからない。2023年5月に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行し、マスクの着用ルールが緩和される見込みであるが、多くの人が子どもや学校での着脱方針は多くの関心が寄せられているのではないだろうか。

 

ニッセイ基礎研究所では、2022年10月にマスク着用について、子育て世帯(親と子)を対象にインターネット調査を行った*1。前稿「子育て中の親は、マスク着用をどう感じているか?*2」では、小・中学生の親がマスクについてどう感じているか紹介した。本稿では、小・中学生の子の回答を紹介する。

 

*1:村松容子 岩﨑敬子「子育て中の親は、マスク着用をどう感じているか?」ニッセイ基礎研究所 基礎研レポート(2023年1月31日)

*2:本研究は、公益財団法人かんぽ財団令和4年度の助成による成果である。記して深謝する。

2―調査の概要

本稿で使用したデータは、ニッセイ基礎研究所が、小学生から中学生の子と同居する全国の24~64歳の男女と、その小学生から中学生の子を対象に、2022年10月に実施したインターネット調査によって得られたものである。有職男性:無職男性:有職女性:無職女性の割合が、なるべく全国の分布に近づくように配信し*3、1000組の親子から回答を得た。

 

このうち、マスクをつけることについて感じていることに回答することを承諾した子865人の子を対象に分析を行った。対象となった子の性別・学年は【図表1】のとおりである*4

 

【図1】
【図1】

 

*3:令和3年国民生活基礎調査の児童有の人の有職・無職分布。

*4:任意の協力の下、調査会社のモニター会員を対象にして行った調査であること、子の年齢や性別について回収時に分布の調整等は行っていないことから、本調査に回答した子の分布は必ずしも日本全体の小・中学生の分布を示しているとは限らない点に注意が必要である。