日本の平均給料額は、1990年代からほとんど変わっていません。こうしたなか、電気代の値上げをはじめ、日本の現状を考えると、将来に向けた資産形成は必須といえるでしょう。そのようななか、FP Office株式会社の石井悠己也FPは「総所得が1,800万円以下の人は、生命保険を使った資産形成が合理的」といいます。それはなぜか、みていきましょう。
平均給与「443万円」…日本のサラリーマンの資産形成は「生命保険」が合理的なワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

一時所得のメリット

説明が長くなりました。ここからやっと、一時所得のメリットについてです。

 

単純に源泉分離課税と一時所得で単純に税率を比較すると、源泉分離課税は一律20.315%なのに対して、一時所得は総所得によって税率が変わります。

 

増えた分(利益)から50万円を引いて、1/2したものをその他の所得と合算して計算するため、年間の総所得が1,800万円以上4,000万円以下の場合だと、所得税率40%なので、源泉分離課税と近い税率となります(増えた分の半分の課税)。

 


総所得が1,800万円以上であれば、そこまで大きな差はありませんが、それ以下であれば、源泉分離課税よりも税率は低くなります。日本の給与所得者の平均給与は443万円(国税庁:令和3年分民間給与実態統計調査)ですので、多くの人は一時所得のほうが税率が低くなるといえそうです。

 

たとえば、生命保険の満期金や解約返戻金などを、老後の年金所得のタイミングで受け取ればかなり低い税率で、さらに50万円の特別控除も使えるため源泉分離課税と比べ、かなりのメリットがあります。

※一般的な年金収入は150万円~200万円(税率5%~10%)

 

この特別控除の50万円は、毎年(1月~12月)で一度リセットされるので毎年使えます(その年の一時所得全体で1回)。

 

たとえば、積立タイプの生命保険の満期を老後(おおむね70歳~)に設定し、満期手前から取り崩していけば毎年50万円の控除が使えます。

※ほかの保険の満期や一時所得がない場合

 

まとめ…所得税の税率が低いタイミングであれば、一時所得のメリットは大きい!

◆特別控除50万がある。

◆老後(年金収入がメイン)には税率で有利。

◆生命保険の利益は一時所得(期間5年以上)である。

◆かなりの高所得でない限り、一時所得のほうがメリットが大きい。

 

老後の資産形成のために積み立てなどを行った場合、期間が長くなるため利益が大きくなりやすい反面、税金のことも考慮する必要があります。

 

受け取れる利息や利益に目が行きがちですが、受け取った後の税金なども考慮すると、長期の積み立ての際には生命保険などはかなり合理的な仕組みではないでしょうか?

 

 

石井 悠己也

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー