「相続裁判」を都道府県ごとにみていくと…
都道府県ごとに遺産分割事件をみていきましょう。2021年、最も遺産分割事件が多かったのが「東京都」で1,585件。遺産分割事件の1割強が東京で起きています。続いて「大阪府」が929件で、全体の7%。「神奈川県」「愛知県」「埼玉県」と続きます。
当然、人口や世帯の多い都道府県が上位にきます。そこで世帯数あたりの遺産分割事件数から、「相続トラブルになりやすい地域」をみていきましょう。10万世帯あたり、最も遺産分割事件が多かったのが「徳島県」。世帯数30万7,835世帯のなか、124件の遺産分割事件が発生。10万世帯当たり40.28となり、頭ひとつ抜けた数値でした。
続くのが同じ四国地方で「愛媛県」。10万世帯当たり36.79の遺産分割事件が起きています。以下、「富山県」「香川県」「鳥取県」と続きます。
一方、世帯当たりの遺産分割事件が少ないのが「千葉県」。276万世帯のうち、遺産分割事件は477件。10万世帯当たり17.24。続いて「秋田県」「神奈川県」「山形県」「滋賀県」と続きます。
もちろん単年の結果ですし、裁判には発展しなかったけど……という相続トラブルも多いですから、遺産争い裁判の件数だけ結論付けることはできません。ただ泥沼の裁判劇には、どうも地域性があるのは確かなようです。
そんな遺産争い、解決するまでにどれほどの時間を要するのか、「審理期間」をみていくと、最も多いのが「6ヵ月~1年」で30.7%、次が「1年~2年以内」で26.8%、「6ヵ月以内」が20.4%と続きます。なかでも「3年を超える」というケースが、1万3,447件中451件。全体の3%程度ですがドロ沼劇に発展しているケースもあります。
仲の良かった家族が、わずかな遺産を巡って争い、修復ができなくなる……これがお金が絡む相続トラブルの哀しさ。「自分は関係ない」などと思わず、万が一のことを想定しておくことが大切です。