「ハイリスクな投資ほどハイリターンである」という常識
預金、債券、株式という、3つの資産運用方法を考えてみましょう。
元本の安全性と価格の安定性は、高い順から預金、債券、株式です。つまり預金が最もローリスクで、株式が最もハイリスクだといえます。
そして運用がうまくいった際のリターンの高さは、高い順から株式、債券、預金となります。つまり株式が最もハイリターンで、預金が最もローリターンだといえます。
ですから、預金が最もローリスク・ローリターン、株式が最もハイリスク・ハイリターンとなります。
こう考えれば、確かに「ハイリスクな投資ほどハイリターンである」といえ、常識とも呼べるその言葉には、やはり一定の正しさがあるのでしょう。
しかし、この3種の資産運用方法のなかで、株式には特殊性があります。
それは、元本価格がそもそも不明確であることです。そして、そうした元本価格が不明確であるというところにこそ、株式投資ならではの「ローリスク・ハイリターンな投資」をする余地が生まれるのです。
安く買うほどローリスク・ハイリターンな投資となる
仮に、ある会社の適正な株価が1,000円であるとします。
一方、市場における株価は需要と供給の関係性で決まりますので、適正な株価以上で売られるときも、それ以下で売られるときもあります。
では、その株が市場で1,200円で売られているときに買うと、どうなるでしょうか? 今後は値上がりの確率より値下がりの確率のほうが高い、といえますね。
では、その株が市場で800円で売られているときに買うと、どうなるでしょうか? この場合、今後は値下がりの確率より値上がりの確率のほうが高い、といえそうです。
さらに、その株が市場で400円で売られているときに買うと、どうなるでしょうか? この場合、今後は値下がりの確率が一層低く、値上がりの確率が一層高い、といえます。そして値上がりする幅も、より大きくなり得るといえます。
ローリスク・ハイリターンの株式投資というのは、この3つ目の例のような投資なのです。
もちろん、投資家が自分で決めた適正価格というものが正しいかどうかはわかりませんし、今後の値上がり・値下がりはあくまで確率的なものですので、計算通りにはいかない場合もあります。
しかし、安く買うほど、値下がりの確率は低く、同時に値上がりの確率が高まり、かつ値上がり幅も高いであろう投資になることがおわかりではないでしょうか。
元本価格がそもそも不明確な株式投資では、適正価格よりずっと安い価格で買うことによって、ローリスク・ハイリターンの投資が実現可能なのです。