養育費の取り決めを行っても「3割」は支払いが滞り…
また養育費の受給状況を問うと、「現在も受けている」が28.1%と3世帯に1世帯以下。さらに「養育費を受けたことがある」が14.2%ということを鑑みると、「養育費の取り決めを行ったものの、その3割は約束が果たされていない」という現状がみえてきます。つまり実質、養育費のない母子世帯が7割近くにものぼる計算です。
養育費を受けている場合、その養育費は平均5万0,485円。子どもの数別にみてくと、子ども1人の場合は4万0,468円、子ども2人の場合は5万7,954円、子ども3人の場合は8万7,300円。月々の収入を中央値で考えると、母1人、子2人の母子家庭の場合、養育費ゼロだと前出の通り月13万円が生活費。夫がきちんと約束を果たしていれば約19万円が月々の生活費ということになります。
「養育費を払ってもらえないなら法的手段に出ればいい」と考える人も多いでしょう。確かにその通りですが、訴えるにはコストがかかりますし、日々の生活で精一杯のなか、行動を起こすのも大変です。また相手に支払い能力がない場合もあるので、無駄骨になることも考えられます。
――預貯金があればいいんじゃない、慰謝料とかもあったでしょ
そんな声もありますが、母子世帯の預貯金額は「50万円未満」が最多で39.8%。月々の赤字分を預貯金を取り崩して……はっきりいって、非現実的です。
【母子世帯の預貯金額】
50万円未満:39.8%
50万~100万円未満:9.6%
100万~200万円未満:11.5%
200万~300万円世帯:5.8%
300万~400万円世帯:5.0%
出所:厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』より
本来、もらえるはずの養育費を手にできない母子世帯。もちろん児童手当があったりと、月13万円の生活費にプラスαはありますが、余裕がある生活を考えられるほどの金額ではありません。そんななか相次ぐ値上げで、ゲームオーバー寸前。「必要があれば追加の対策をします」とよく耳にしますが、母子世帯に関わらず、全国には差し迫った人たちが大勢いることが伝わっていない様子。迅速な対応が求められます。