家庭を経済的に支える世帯主。しかし、突然の不幸により、家族が困窮の危機に直面することも。そのような場合、公的な支援となるのが「遺族年金」。実際にどれほどのものになるのか、考えていくと厳しい現状がみえてきました。
46歳・大卒会社員が死去、衝撃の「遺族年金額」に途方にくれて「これでは、とても生きていけない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

実際に手にする「遺族年金」はいくらか?計算してみると…

最大の関心ごとは、いったいいくら受給されるか。遺族基礎年金は、子どもがいる配偶者が受け取れるのは「77万7,800円+子の加算額」、子どもが受け取るときは、「77万7,800円+2人目以降の子の加算額」。加算額は、2人目までが各22万3,800円、3人目以降が各7万4,600円。

 

一方、遺族厚生年金は、老齢厚生年金の4分の3。厚生年金であれば加入期間が2003年3月までは①「平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数」、加入期間2003年4月以降は②「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」で計算できます。

 

たとえば、大卒の46歳サラリーマンが亡くなった場合を考えてみましょう。大学卒業後、大卒男性の平均的な給与を手にしてきたとすると、その時点で平均標準報酬額は47万円。簡易的に上記②で計算すると、年77.2万円、1ヵ月あたり6.4万円ほどの遺族厚生年金が支払われる、ということになります。

 

仮に子どもが1人いたとすると、妻が受け取れる遺族年金合計額は、年間177万円、1ヵ月で14.7万円が、当面、残された妻と子どもの生活費となるでしょうか。

 

夫を亡くし、専業主婦だった妻は働きに……しかし、誰もがそうできるとは限らず、なかには働きに出たくても働きに出られない場合も。そうなると「月、14万円……これじゃ、とても暮らしていけない」となるでしょう。

 

たとえば「東京23区」「41~59歳の妻と、小学生の子ども」という母子家庭の場合、単純計算、最低生活費は21万4,960円(生活補扶助基準額12万1,970円、母子加算1万8,800円、児童養育加算1万0,190円、住宅扶助基準額6万4,000円。だだし家賃がこれよりも少ない場合は、その額を支給)。

 

生活保護を申請すれば、遺族年金との差額、月7万円程度の支給が受けられる可能性があります。もちろん生活保護を受けるには、本当に働けないのか、預貯金はいくらあるのかなど、色々と見られ、そのうえで支給されるので、誰もが申請をすれば手にできる訳ではありません。

 

ただ、配偶者を亡くし、生活が困窮……そんなときに、しっかりとしたセーフティーネットがあることは、遺族にとっても安心材料だといえるでしょう。