年も明け、いよいよ受験シーズン。これから本番にのぞむ親子は、緊張を高めていることでしょう。一方で受験というワードを目にする機会が多いことから、将来の進路を具体的に考えることも多くなる時期。子どもからの思わぬ言葉で息を飲む親御さんの姿も。みていきましょう。
年収600万円・平均的な40代サラリーマンが「子ども2人とも中学受験」で直面する、貧困没落の現実味 (※写真はイメージです/PIXTA)

「上の子」が私立中学に進学したら「下の子」まで…

中学から私立校に通わせると、総額1,000万円超え。さらに自宅外からの通学となると、さらに費用はかさみます。このような現状に対し、「うちはずっと公立かな……」と思ていると、子どもから「中学受験したい!」ということも。

 

前述のとおり、東京都23区の場合、5人に1人は私立中学校に進学。区ごとにみても、最も進学率の低い「江戸川区」でも10人に1人という水準。受験に挑戦した子どもたちも合わせると、中学受験に臨む親子はさらに多いでしょう。いまどき、中学受験は特別なものではないのです。

 

日本の平均的なサラリーマンの月収は34万8,800円(所定内給与額)、年収は571万円ほど。第1子が中学受験に臨むであろう40代前半だと、月収36万4,600円、年収606万円ほどです。そこから年140万円の教育費を捻出するというのは至難の業。共働きしなければ、家計を回すことはできないでしょう。

 

*厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』。男性、正社員、企業規模10人以上

 

さらに上の子どもに続き、下の子までが「中学、受験したい!」と言われたら、「うちでは、本当にムリ」というのが親の本音。しかしランチ代がゼロになろうが、子どもの願いは叶えたいもの。上の子が中学受験すれば下の子も中学受験というのが定番で、「教育費貧乏」に苦しむ人も珍しくありません。

 

そうなった場合に気を付けたいのが「親の将来」。以前であれば50代の前半に子どもは親離れし、親は定年まで老後を見据えて貯蓄を本格的に進めていました。しかし現状の平均結婚年齢や第1子誕生年齢から考えると、子どもを大学卒業まで育て上げたころには、定年間際というタイミング。圧倒的に資産形成の時間が足りないのです。

 

このまま定年で現役を引退すれば老後破綻は確実。「子ども全員が中学受験に臨む」のであれば、生涯現役を覚悟することが必要……それが日本の平均的なサラリーマンの現実です。