新しい年がスタートし、将来のことを考える機会も多いタイミング。「老後のこと」を考える人も多いでしょう。最大の関心ごとは、年金はいくらになるのか、その年金で暮らしていけるのか、ということ。平均的な給与の会社員であれば、どうでしょうか。みていきましょう。
平均手取り月25万円でも…「老後破綻」を覚悟しなければならない、日本人の唖然の年金額 (※写真はイメージです/PIXTA)

会社員の平均給与月30万円…65歳から手にする年金額は?

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本人の平均給与(所定内給与額)は30万7,400円、手取りは25万6,000円ほど。賞与も含めた年収は489万3,100円です。2020年は月30万7,700円、年収は487万3,000円、2019年は月30万6,000円、年収は494万3,000円。コロナ禍の影響でこの3年間、給与減の傾向にありました。昨年はコロナ禍からの回復も見られたため、給与増が期待されます。

 

政府は企業に対して賃上げを要求。それに応えるように、2023年、多くの企業が賃上げを表明しています。東京商工リサーチのアンケート調査では、調査企業の8割を超えました。あとは物価高を超える賃上げとなるかが焦点に……そう思った矢先、突如議論が巻き起こった防衛費増額に伴う法人税増税が、企業の賃上げ抑制につながるとして批判にさらされています。果たして、悲願の給与アップとなるか、予断を許さない状況です。

 

一方、老後の生活資金の源となる公的年金について、政府は2023年の支給額を引き上げる方針を固めています。これは足元の物価上昇を踏まえた措置で、増額となれば3年ぶりとなります。しかし少子高齢化の中でも制度を維持させるため、給付を抑える「マクロ経済スライド」の発動も検討。結局年金の伸びは物価上昇に追い付かず、実質的に目減りになるとされています。

 

将来、いくら年金を手にできるかは、国民年金であれば「年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」で、厚生年金であれば加入期間が2003年3月までは①「平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数」、加入期間2003年4月以降は②「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」で計算できます。

 

20歳から60歳まで会社員として働き、日本人の平均給与を手にしてきたと仮定し、便宜上、上記②の計算式だけを用いると、日本人の平均標準報酬月額は34万円で、65歳から手にできる厚生年金は7万4,000円ほど。国民年金を満額手にできるとすると、合計13万8,000円になります。

 

男女別にみていくと、男性の場合、平均標準報酬月額は44万円となり、65歳から手にする厚生年金は9万6,000円となり、国民年金と合わせると16万円ほど。女性の場合、平均標準報酬月額は32万円となり、65歳から手にする厚生年金は7万円、国民年金と合わせると13万4,000円ほど手にできる計算です。