老後の安心のためにも、計画的な資産形成は必須といわれていますが。誰もが思い通りに進められるとは限りません。ほとんど貯蓄がないまま年金生活に突入、というケースも珍しくないでしょう。そんなとき、人は思わず神頼みをしてしまうもの。「宝くじが当たれば……」それって実際どうなのか、考えていきましょう。
年金17万円の65歳・元会社員、老後資金不足2,000万円「宝くじ」に望みを託し…何枚買うのがいいのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

老後資金2,000万円問題を「宝くじ」で一気に解決することは現実的?

ただ2,000万円不足問題があまりにもセンセーショナルに報じられたからか、多くの人が貯蓄目標額を2,000万円としているケースが多いといいます。確かな答えなどないので、目標額として2,000万円を見据えるのはいいかもしれません。

 

また年金についてもう少し詳しくみていきます。厚生労働省によると厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金受給額は老齢年金で月額14万6,145円。またここには繰り上げ受給で年金を手にしている人も含まれるので、65歳以上に限り平均をみていくと男性で17万0,391円、女性で109,205円。元会社員と専業主婦という夫婦であれば月23万円、元会社員同士の夫婦であれば、30万円近くの年金を手にできそうです。

 

ここに貯蓄2,000万円が加われば、余裕の老後が実現できそうですが、誰もが予定通り資産形成を進められるかといえばそうではありません。最近は晩婚化が進み、第1子の誕生、マイホームの購入……とライフステージが後ろ倒しになる傾向にあります。年金受給が開始される直前まで住宅ローンの返済で必死だった、というケースも珍しくなく、貯蓄もほとんどない、という高齢者夫婦も珍しくはありません。

 

そんなお金に不安を抱えている人のなかには、この年末に向けての季節。「宝くじに望みを託す!」というパターンも珍しくないのではないでしょうか。もし1等当選なんてミラクルが起きれば、億万長者の仲間入りです。

 

年金月17万円を手にする元サラリーマン、貯蓄はほとんどないから、「宝くじで老後資金2,000万円問題を解決だ」……そんな目論見は、無謀でしょうか。

 

結論からいうと、宝くじは統計学上、必ず損をします。平均的に、どれくらいの当選金が当たるのかは期待で表すことができます。たとえば合計100本の宝くじがあり、1等が1万円で1本、2等が1,000円で9本、1本の購入金額が200円だったとすると

 

(10,000円×1本+1,000円×9本+0円×90本)÷100=190円

 

1本買うごとに10円損することになります。すべての宝くじの値段は期待値を上回るように設計されているので、絶対購入者が損をする仕組みになっています。また1枚買って当たる確率は10/100、2枚目買う場合は10/99、3枚目を買う場合は10/98……となっていき、たとえ10枚買ったからといって、当選確率が10倍になるというわけではないのです。

 

また昨年の年末ジャンボ宝くじで考えると、1等の当選確率は0.000005%、1等前後賞の当選確率は0.00001%、1等組違い賞の当選確率は0.001%、2等の当選確率”は0.00002%、3等の当選確率は0.0002%……そして期待値は約150円になります。やはり高額当選の確率は天文学的数値ですし、1枚300円ですので、1枚買うごとに150円損する計算です。

 

宝くじは、販売総額の50%未満が賞金に充てられ、残りは地方自治体の収入に充てられます。つまり期待値(掛けたお金が戻ってくる見込みの平均値)は50%以下ということです。

 

そう考えると、一度に多くの枚数を買うよりも、買う回数を多くしたほうが賢いといえるでしょう。ジャンボ宝くじのほかにもいろいろな宝くじがあるので、それも含めて買い続ければ、「宝くじで2,000万円不足問題を解決」に近づくかもしれません。もちろん、趣味の範囲で買うことが前提です。