賃貸か、持ち家か……賃貸更新が近づくたび、この問題に頭を悩ませている人は少なくありません。外資系証券会社で働く年収1,200万円超のエリートサラリーマンGさんは「家を買うヤツは無知」との考えから、港区にある家賃36万円のタワマンに賃貸で暮らしていましたが、「家を買わなかったことを後悔している」といいます。それはなぜか、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が、住居問題に関するひとつの事例を紹介します。
手取り75万円の31歳・エリート金融マン「家買うヤツは無知」…家賃36万円・港区タワマン賃貸も大後悔のワケ【AFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「持ち家派」をバカにしていたが…エリートサラリーマンを襲った「想定外」

外資系証券会社で法人営業として働くGさんは、31歳にして年収1,200円超、手取りで約75万円を稼ぐエリートサラリーマンです。そんな彼は、2年前に友人の紹介で出会った女性と意気投合して結婚。大手損害保険会社で働く彼女は「結婚しても仕事は続けるつもり」と話していたとおり、結婚後もしばらくは夫婦共働き(ダブルインカム)で、生活には余裕がありました。

 

結婚当初、家の購入について夫婦で話す機会はあったものの、Gさんは「住宅ローンのために働き続けるなんて嫌だ。ましてや転勤の可能性や収入が変化するリスクがあるのに、なにも考えずに家を買う奴は無知だ」との考えから、賃貸に住み続けていました。

 

結婚してしばらく経ったころ、ダブルインカムで収入に余裕があったこともあり、職場でお世話になっている先輩夫婦が住むタワーマンションに思い切って引越しました。家賃は36万円と決して安くはないものの、周辺相場に比べると割安でお得感があったことが決め手でした。また、一等地のタワマンからの眺めは最高で、職場にも近かったので快適に過ごしていたそうです。

 

しかし、そんなGさんの順風満帆な生活は、妻の「子育てに専念したい」というひと言から徐々に狂いはじめるのでした。

 

Gさんの妻は当初、産休・育休を取得した後、時短勤務で職場に復帰する予定でした。しかし、妻いわく「子供にしっかり向き合いたい」と、そのまま会社を退職してしまったのです。妻が仕事を辞めたことにより世帯収入は減ったものの、なんとかGさんだけの収入でやりくりができそうでした。

 

しかし、子供が大きくなるにつれて今度はピアノやバレエなどの習い事をはじめ、さらには「私立の小学校に通わせたい」という妻の方針により教育費もかさみ家計を圧迫。さすがにGさんの年収だけでは生活の維持が厳しくなってきました。

 

特に家賃の負担が重く、このままでは貯蓄も底を尽いてしまう危険があったため、Gさんは奥さんに引越しを提案。しかし、

 

「ママ友との付き合いがあるから」

「子供がかわいそう」

「港区からは出たくない」

 

と聞く耳を持ちません。

 

奥さんにパートでも良いので働いてほしいと伝えるも「子どもが家に帰ってきた時に1人だとかわいそう」「家事も大変」と断られました。

 

いま住んでいるタワマンを買っておけば、値上がり益で生活も楽だったのにと後悔するGさん。親族や知り合いで「住宅ローンは大変だ」と聞かされていたので、ローンは負債であり借金すると後で大変なことになると考えていたGさんでしたが、まさか仕事熱心にみえた妻が子どもを出産して子育てに目覚めるとは思いもよりませんでした。

 

結局、なんとか妻を説得して港区内の築古リノベマンションへ引越し。なんとか生活はできているものの、貯蓄はできないという状態が続いているそうです。