投資銘柄を選ぶ際、「過去の配当実績」に注目する人は少なくありません。たしかに、減配が少なく増配の多い会社を選びたいものです。しかし、「単純に配当金額だけを見ていると、実質は減配していることに気づかない場合がある」と、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。企業の配当実績を正しく見抜く方法をみていきましょう。
一見増配にみえるが…企業が使う「実質減配のワナ」を見抜く方法【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

「1株当たり配当額」がわかる方程式

株式分割または併合による発行済株式総数の増減を調整した1株当たり配当額は、以下の方程式を解いて求めることができます。

 

増減前の発行済株式総数×増減前の1株当たり配当

増減後の発行済み株式総数×増減調整済み1株当たり配当(D)

 

たとえば、1株当たり配当100円の会社が、ある年発行済株式総数を株式併合によって200万株から100万株に減らしたとしましょう。

 

これを以下の方程式に当てはめてDを求めると、

 

200万株×100円=100万株×D円
20,000万(2億)=100万・D
D=200

 

となります。

 

よって、株式併合後のこの会社では、1株当たり200円の配当が支払われれば、実質の配当額が変わらないことになります。

 

一方、200円より高くなっていれば実質の増配ですし、200円より安くなっていれば実質の減配です。

 

株式分割または併合後に、実質減配している会社は珍しくありません。増配しているように見えたとしても実質は減配しているという場合もあります。ですから、上記の方程式を利用して、ぜひそれを見抜くようにしてください。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓