都心に林立するタワーマンション。最近は郊外や地方に建てられることが多く、購入者層は一般へと広がりつつあります。主な購入者層として世帯年収の高いパワーカップルは知られていますが、「終の住み処」として購入する高齢者も多いといいます。みていきましょう。
タワマンは「終の住み処」になりえるのか?新宿区・タワマン住まいの高齢者、不安の声 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者でも住みやすいように…都道府県別にバリアフリー化率をみる

厚生労働省『令和3年簡易生命表』によると、日本人の最新の平均寿命は女性が87.57歳、男性が81.47歳。また「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、最新の2019年値で女性は75.38歳、男性は72.68歳。この年齢を超えると、何かしら医療や介護のお世話になる人が多くなる……ひとつの目安といえるでしょう。

 

厚生労働省『介護給付費等実態統計月報』によると、年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合は、70代前半では5.8%だったのが、70代後半では12.7%、80代前半で26.4%と4人に1人以上の水準となり、80代後半以上では59.8%と6割近くに達します。

 

年を重ねるとともに、不自由が生じるのは仕方がないこと。それにともない住まいをどうするか、老後に向けてひとつの大きな課題です。

 

総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査』によると、65歳以上の世帯員のいる「高齢者のいる世帯」、2,253万4,000世帯のうち,一定のバリアフリー化*1住宅に居住している世帯は955万6,000世帯で42.4%。さらに高度のバリアフリー化*2住宅に居住している世帯は198万8,000世帯で8.8%となっています。

 

バリアフリー化率は年々増加傾向にあり、一定のバリアフリー化率について住宅の建築の時期別にみると、2000年以降建築の住宅では7割程度と高くなっています。一方で1990年代後半で6割弱、1990年代前半で4割弱、1980年代で3割強と、築年数が古い住宅のほうがバリアフリー化は進んでいない状況にあります。

 

*1:人が居住する住宅について、高齢者等のための設備・構造のうち、2箇所以上の「手すりの設置」または「段差のない屋内」がある住宅

*2:2箇所以上の「手すりの設置」「段差のない屋内」および「廊下などが車いすで通行可能な幅」がいずれもある住宅

 

都道府県別に高齢者のいる世帯におけるバリアフリー化率をみていくと、一定のバリアフリー化率が最も高いのは「長野県」で48.7%。「島根県」「富山県」「兵庫県」「新潟県」と続きます。また高度のバリアフリー化率のトップは「宮城県」で12.5%。「長野県」「兵庫県」「岩手県」「富山県」と続きます。一方、バリアフリー化が進んでいないのは、どちらも「沖縄県」。沖縄は元気な高齢者が多いというイメージもありますし、単にバリアフリーへの意識の差だけではなさそうです(関連記事:『都道府県「住まいのバリアフリー化率」ランキング』)。