早いうちから我が子によりよい教育を受けさせたいと中学受験に臨む家庭は多いもの。なかでも高い人気を誇っているのが「国立中学」です。どのような教育を受けられるか、みていきましょう。
高倍率の「国立中学」の実態…私立や公立と大きく異なる独自の教育環境とは? (※写真はイメージです/PIXTA)

都内には8校ある国立中学、その特徴とは?

中学受験が盛んな東京都内には8校の国立中学校があり、所在地は文京区3校、世田谷区2校など主に23区内となっています。男女共学校が7校、そして男子校が1校です。なお、お茶の水女子大学附属は高校から女子高になります。同じ国立中学でも大きな違いがあり、ここでは主な2つの違いについて解説します。

 

1.小学校からの内部進学生がいる学校

お茶の水女子大学附属、筑波大学附属、東京学芸大学附属は小学校からの内部生が一定数、中学校に連絡進学します。内部進学生と中学受験を経て入学する学生は、若干内部生の比率が多めですが、特色ある学校行事を通してクラス全体の結束が固まっていきます。

 

2.高校まで一貫教育か内部連絡進学か

東京学芸大学附属国際中等教育学校、東京大学教育学部附属中等教育学校は「中等教育学校」であり、中学と高校がひとつの学校として一体的に中高一貫教育を行います。また「筑波大学附属駒場中・高等学校」も中高一貫教育校ですが、高校からの受け入れもしています。それ以外の学校は高校への内部進学制度がありますが、東京学芸大学附属は中学校3校が高等学校で1校となるため内部進学率が低めです。

 

※進学割合は卒業年により変動があります。
[図表4]高校まで一貫教育もしくは内部連絡進学制度の国立中学 ※進学割合は卒業年により変動があります。

 

「国立中学」独自の教育環境

私立および公立中学との最大の違いは、国立中学は国立大学の附属校であり、教員養成の実習および教育研究の実験の場であるということです。年に2回、大学から多数の教育実習生を受け入れ、また先生の研究活動に関する実験的な授業や、全国の教職員が来校する「研究発表会」が実施されます。進学実績を上げるための勉強ではなく、国の教育の発展を目指す方向で授業が行われます。そのため中高一貫教育で、最難関の大学受験に臨みたいという目的であれば、国立よりも私立を選択するほうがよいといえます。

 

また国立大学の予算に限りがあるため校舎や施設が一般的に古く、給食もありません。そして入学時に同窓会等の組織を通じ、教育環境のための寄附が必要です。

 

一方、国立中学には教育熱心なご家庭のお子さんが多く、幼少期よりご家庭で学びや体験学習などの経験を積んでこられた方が多く在籍しています。学校ではいわゆる知識詰め込み型の勉強ではなく、探求型の勉強の比重が高く、先生から出される課題に対して、調査およびレポートにまとめて発表するなど、将来の学びにつながる学力の土台を形成することができる環境にあります。お子様の特性に合った中学受験のための選択肢のひとつとして「国立中学」について、調べてみてはいかがでしょうか。

 

 

山内 真由美

FPオフィス ライフ&キャリアデザイン

代表