年々高まる子育て世帯による中学受験への関心。東京で関心が高いことはよく知られていますが、ほかの地域はどうなのでしょうか。公的データをもとに、FPオフィスライフ&キャリアデザイン代表の山内真由美氏が解説します。
クラスの半分は私立受験!居住地でみる中学受験、驚愕の実情 (※写真はイメージです/PIXTA)

首都圏以外に私立中学生が意外と多い県とは?

都内の主要駅前には「SAPIX」「日能研」「四谷大塚」「早稲田アカデミー」「ena」といった中学受験塾の看板が競い合うように並んでいます。夜遅くに塾から帰宅する小学生を駅前で見かけることは珍しくなくなりました。

 

実際どのくらいの学生が私立中学に進学するのか、学校基本調査-令和4年度(速報)結果の概要-:文部科学省から全国の状況をみてみましょう。

 

まずは、生徒数を確認します。中学生総数は全国で約320万人、そのうち私立中学に在籍している学生は約24.6万人です。地域別でみると「東京都」は約8万人と全国の3割強です。残る7割は「神奈川県」約2.5万人、「大阪府」約2.2万人、「兵庫県」約1.2万人、「千葉県」約1.1万人、「埼玉県」約1.0万人「京都府」約0.9万人と、首都圏および関西圏で大きな数となっています。

 

次に、生徒総数に占める私立中の学生割合ですが、上記の順位とは少し異なります。全国は7.7%、地域別は「東京都」約25.5%、「高知県」18.1%、「京都府」13.6%、「奈良県」12.9%、「神奈川県」11.0%、「広島県」10.3%、「大阪府」9.8%となっています。人数では首都圏、関西圏が多くを占めていますが、私立に通う学生の割合を調べると高知、広島が上位に入ります。

 

東京以外にも中学受験に熱心な地域が存在しています。子供の進路は少なからず、住む地域に影響されます。教育激戦区と知らずに家を買ってしまい、意図せず中学受験の波にのまれてしまった……とならないよう子育て期にどこに住むか、家族で慎重に考える必要がありそうです。全国転勤がある企業にお勤めの方は、家族を帯同する際に、地域の教育事情をしっかり調べておくことをおすすめします。

「クラスの半数以上」が受験する地域

公立小学校卒業者の進路先では、もう少し具体的な地域が公表されています。

 

東京の地域別私立中学進学事情

■私立中学に進学する公立小学校6年生の人数

「世田谷区」約2,100名、「大田区」約1,030名、「江東区」約1,020名、「杉並区」約1,000名、「練馬区」約1,000名、「文京区」約700名となっています。          

令和3年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和2年度)の進路状況調査編】(東京都教育委員会)より

 

世田谷区には私立中学が20校設置されており、江東区には湾岸タワーマンションが多く存在しています。

 

■地区別私立中学への進学割合

「文京区」47.4%、「中央区」40.4%、「港区」39.5%、「目黒区」38.2%、「渋谷区」36.1%、「千代田区」35.8%です。

令和3年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和2年度)の進路状況調査編】(東京都教育委員会)より

 

なお、千代田区は私立中への進学者に加え、受験して入学する区立の中高一貫校「千代田区立九段中等教育校」への進学者、約70名を加えると50%を超えます。これらの地域には「麻布中学校」「慶應義塾中等部」「青山学院中等部」「渋谷教育学園渋谷中学高等学校」など有名私立中が多数存在しています。

 

神奈川の地域別私立中学進学事情

東京以外で、公立小学校卒業後の私立中進学者数を地域別に公表している地域は「川崎市」と「横浜市」です。

 

■川崎市の私立中学への進学人数と割合

川崎市全体で約2,200名、進学率は18.1%です。武蔵小杉駅がある「中原区」の約570名で27.3%がトップ。次に「麻生区」の約350名で21.9%となっています。

年刊教育調査統計資料No.49令和3(2021)年度(川崎市教育委員会)より

 

■横浜市の私立中学への進学人数と割合

少し古いデータとなりますが、横浜市全体で約4,800名、進学率は15.3%です。「青葉区」約770名で26.7%、「港北区」572名で21.6%となっています。

平成27年度教育統計調査横浜市より

 

私立を目指す生徒数が千人単位になっている地域、そして私立に進学する割合が3割を超えている地域では、クラスによっては生徒の半数が中学受験にチャレンジすることが予想されます。