終わりの見えない物価高。光熱費や生鮮食品など、暮らしに欠かせないものを中心に大きく値上がりしているため、特に年金が頼りの高齢者ほど影響を受けています。そんな年金生活者をわずかながらサポートする「年金生活者支援給付金制度」についてみていきます。
年金月7万円、生活苦の高齢者…ある日「年金生活者支援給付金請求書」が届いたが (※写真はイメージです/PIXTA)

年金生活者支援給付金制度…支給要件は? 手続き方法は?

老後生活を支える年金ですが、これで暮らしていくには十分とはいえない金額であることは明らかです。さらにこの物価高で高齢者の暮らしはさらに苦しいものになっています。そんな年金生活者をわずかながらサポートするのが「年金生活者支援給付金制度」。消費税の引き上げ分を財源として定められている制度です。

 

「①65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること」「②同一世帯の全員が市町村民税非課税である」「③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が881,200円以下であること」の3つを満たしていると「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」が支払われます。

 

給付額の基準は月額5,020円。保険料納付済期間等に応じて算出され、「①保険料納付済期間に基づく額(月額)5,020円×保険料納付済期間/被保険者月数480ヵ月」と「②保険料納付済期間に基づく額(月額)5,020円×保険料納付済期間/被保険者月数480ヵ月」の合計額となります。

 

【支給例】

被保険者月数480ヵ月のうち納付済月数が480ヵ月、全額免除月数は0ヵ月の場合

①5,020円×480/480ヵ月=5,020円

②10,802円 × 0/480ヵ月=0円

①+②=5,020円(月額)

 

新たに「年金生活者支援給付金」を受け取ることができる人には簡易な「年金生活者支援給付金請求書」(はがき型)が、市町村から提供された所得情報では支給要件に該当するか確認できない場合は「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と所得情報を確認するための「所得状況届等」が送られてきます。「年金生活者支援給付金請求書」を提出すると、後日「年金生活者支援給付金支給決定通知書」が届き、支給開始。また支給要件を満たす場合、2年目以降のお手続きは原則不要となり、世帯構成の変更などで支給要件を満たさなくなった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き支給がとまります。

 

年金生活者支援給付金制度がスタートしたのは2019年。対象者数を約970万人と見込んで平成31年度予算が組まれていました。当時の高齢者人口は3,589万人で、そのうち27%にあたります。2022年9月時点の高齢者は推計3,627万人なので、約980万人が対象者だと考えられます。

 

この日本には、低年金で生活苦を感じているおよそ1,000万人の年金生活者がいるといえるのです。