終わりの見えない物価高。光熱費や生鮮食品など、暮らしに欠かせないものを中心に大きく値上がりしているため、特に年金が頼りの高齢者ほど影響を受けています。そんな年金生活者をわずかながらサポートする「年金生活者支援給付金制度」についてみていきます。
年金月7万円、生活苦の高齢者…ある日「年金生活者支援給付金請求書」が届いたが (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の8割が「老後が不安」…物価高で生活は苦しく

老後に対する漠然とした不安は多くの人が抱えているものです。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年調査結果』によると、「老後に不安がある(「多少心配で」と「非常に心配」の合計)」は77%。

 

その理由として最も多いのが「十分な金融資産がないから」が66.7%。「年金や保険が十分ではないから」54.8%とともに過半数を超えています。以下「現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備(貯蓄など)していないから」24.4%、「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」23.3%、「退職一時金が十分ではないから」22.4 %と続きます。

 

老後の漠然とした不安は、「老後資金の不足」に関連することが多く、また物価上昇による生活苦を心配する人も5人に1人の割合でいます。

 

10月末に発表となった『2020年基準 消費者物価指数(東京都区部/2022年10月分/中旬速報値)』は、前年同月比は3.5%の上昇。項目別にみていくと、ガス代が前年同月比28.8%上昇、電気代が26.9%、食料品では生鮮魚介が18.0%、穀類が10.5%と、暮らすうえで欠かせないものが軒並み値上がりし、生活を直撃しています。

 

『令和4年版高齢社会白書』によると、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の平均所得金額は312.6万円、平均等価可処分所金額は218.5万円。その他の世帯の7割程度になっています。また公的年金を受給している高齢者世帯のうち、公的年金が家計収入のすべてとなっている世帯は48.4%と約半数を占めています。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』で現段階の平均値をみていくと、国民年金であれば月5万6,358円。厚生年金であれば月14万6,145円。65歳以上男性であれば17万0,391円、女性であれば10万9,205円です。