2022年より、日本の成年年齢は18歳となりました。そのことから「お金」や「投資」についてのリテラシーも、高校生の段階で身につけておくことが大切です。ここでは、高校生に向けて、クレジットカードやキャッシュレス決済の仕組みやメリット、注意点を中心に、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
お金持ちほど理解が深い「クレジットカード」「キャッシュレス決済」のしくみと注意事項

クレジットカードとキャッシュレス決済

公認会計士のK先生は、「教育」「住宅」「老後のお金」という人生の三大費用を計画的に貯めるため、ライフプランを考えることが重要だと教えてくれました。今回は、賢い消費のやり方と注意点について解説します。貯蓄とのバランスをとるには、使う前に貯蓄することも重要ですが、幸せな人生を送るには、貯めるだけではなく、お金を使うことも大切です。第3回目の講義です。

 

賢いお金の使い方!『必要なもの』を優先しよう

K先生:君たちの人生には「三大費用」が待っているから、ライフプランを考えて、計画的にお金を貯めなければいけないことは理解できたよね。

 

高校生:はい、しっかりとお金を貯めていきたいです!

 

K先生:でも、貯めてばかりいても、人生はつまらない。私たちは美味しいものを食べたいし、旅行にも行きたいし、趣味にもお金を使いたいよね。これを「消費」というんだ。「消費」をおこなって、お金を使うことで、私たちが幸せになるといってもいいだろうね。

 

高校生:新しいスマホも買いたいですしね。

 

K先生:しかし、お金は無限にあるものではなく、自分の手取り収入から使うしかない。だから、お金を使いたいときでも、使わずにガマンしようかと、悩ましい判断を繰り返しすることになるよ。今日は、賢いお金の使い方を考えてみようか。

 

高校生:私、欲しい物があれば、我慢できずに買ってしまいます…。

 

K先生:君たちがお金の使い道を考えるときは、買いたいもを「必要なもの」と「欲しいもの」とに区別するといいよ。そのうえで、必要なものを優先して買うようにすることが重要なんだ。欲しいものは後回しにして、余裕があるときのだけ買うようにしたいね。

 

高校生:私、欲しい洋服がたくさんあるから、お金はいくらあっても足りません。

 

K先生:欲しいものをすべて買っていたら、貯蓄に回すお金がなくなってしまうよ。洋服ならば我慢できるだろうけれど、大人になると、お酒やタバコ、ギャンブルのように、借金をしてやり続けてしまうような楽しみがあるから、自分を見失わないように注意しなければいけないよ。

 

クレジットカードに注意!「借りたお金」による消費は避けたい

高校生:クレジットカードに付いているカードローン、どうしてもお金が足りないときは使ってもいいですよね?

 

K先生:確かに、18歳になると、銀行やクレジットカード会社からお金を借りることもできるようになる。しかし、借りたお金を消費に使うのは、基本的にダメなお金の使い方だから、やめたほうがいいよ。

 

高校生:私、ぜんぜん無駄遣いしてないはずなんですけど、いつもお金が足りなくなるんです…。

 

K先生:スマホやインターネット回線の利用料のように、毎月必要なものについては、適切な料金プランの変更によって安くなるから、早いうちに見直しておきたいところだね。ひとり暮らしをするようになると、家賃の金額が大きいから、部屋探しは慎重におこなうべきだね。無駄な消費をなくして、残ったお金を貯蓄に回すような習慣を身につけよう。

 

高校生:私は、我慢することが大嫌いで…。持っているお金は全て使い切ってしまうんです。お金を貯めるのは難しいかも…。

 

お金を貯めるには天引きがベター!

K先生:それについては、いい方法があるんだ。お金を使ってしまう前に、お金を貯めてしまう方法だよ。人間の意思は弱いから、あとから貯めるにしろ、手元にお金が入ると、ついつい使い切ってしまうよね。だから、もらった給料や賃金から、貯蓄したい金額だけ天引きしてもらって、自分の手元にお金が入ってこないようにすればいいよ。強制的にお金を貯める仕組みをつくってしまうのがいちばんなんだ。貯蓄性のある生命保険であれば、勤務する会社が、保険料を給与天引きしてくれるケースが多いようだね。

 

高校生:その方法なら、お金を使い切ってしまうこともなくなりそうですね。

 

★高校生から知っておきたいライフプランニングと家計管理はこちらをチェック

【家庭科/資産形成】ライフプランニングと家計管理【第2話】

 

「キャッシュ」と「キャッシュレス」という、2種類の支払い方法

K先生:ところで、お金の支払い手段には、キャッシュとキャッシュレスの2種類あることはわかるよね?キャッシュは現金そのものだからいいけど、最近話題になっている「キャッシュレス」って、君たちは知ってるかな?

 

高校生:スマホで代金を支払う方法ですね!

 

K先生:そうだね。デジタル化されたお金の支払い、例えば、電子マネーやクレジットカードを使って買い物をすることだね。スマホのアプリに登録して、使用するケースもあるよね。

 

高校生:私はSuicaとPayPayを使っています!

 

3種類のキャッシュレス決済がある

K先生:キャッシュレス決済は、お金を実際に支払うタイミングによって3つに分類できるんだ。前払い、即時払い、後払いの3つだね。

 

◆キャッシュレス決済①事前チャージで使いすぎを防止

K先生:前払いというのは、Suicaのような交通系電子マネーや、nanacoのような流通系電子マネーのこと。事前に入金チャージした金額が使うことができる限度になるから、使いすぎることはないね。

 

◆キャッシュレス決済②銀行口座から代金を即時支払い

K先生:即時払いというのは、デビットカードだよ。これは買い物で使うと、代金の支払いと同時に、銀行口座から引き落とされるようになっているんだ。

 

◆キャッシュレス決済③代金を後から支払い+分割や一括など

K先生:後払いというのは、クレジットカード。クレジットカードには、一回払い、分割払い、ボーナス払い、リボ払いがあるね。あらかじめ限度額を設定できるのはいいんだけど、支払いが後から来るから、うっかり使いすぎてしまうことが多いんだ。

 

★賢い消費の決済方法とは?こちらをチェック

【家庭科/資産形成】クレジットカードとキャッシュレス決済【第3話】

 

【重要】リボ払いは、使いすぎに注意!

K先生:さらに危ないのがリボ払い。これは毎月の支払額を一定額に固定するものだけど、無意識にお金を使うようにする仕組みだから、注意しないといけないよ。

 

高校生:早くクレジットカードを持ちたいですね!

 

K先生:最後に、キャッシュレス決済の方法を説明します。店頭での決済方法は、接触型、非接触型、コード型があるね。接触型は、クレジットカードやキャッシュカードのように、読み取り端末にカードを差し込んで使うものだ。非接触型は、無線通信技術を使っていて、カードやスマホを「ピッ」とタッチするだけで使えるものだ。Suicaのような交通系電子マネーがこれだね。そして、コード型は、QRコードなどを読み取って使うものだ。これには、利用者がスマホ画面でコードを表示して、お店が読み取るタイプと、お店がコードを表示して、利用者がスマホで読み取るタイプがあるね。

 

K先生:キャッシュレス決済のメリットは、多くの現金を持ち歩かなくてもよくなることだろうね。ATMで現金を引き出す回数が減るのもいいよね。でも、お金を使ったという実感がないので、ついつい使い過ぎてしまうことは、デメリットといえるかもしれないね。

 

高校生:お金は目に見えないものになってしまいましたね!

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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