収入が低く、国民年金保険料を支払うことが難しい場合、保険料の免除や保険料の納付を猶予もしくは免除する制度があります。しかしこの制度を利用する場合、将来受け取る年金額は、非常に少なくなります。本記事では、ひとり親世帯の事例をもとに、国民年金保険料の納付を全額免除した場合の受給額について、三藤FP社会保険労務士事務所代表の三藤桂子氏が詳しく解説します。
国民年金保険料、20年全額免除…50歳のシングルマザー、「月2万4,000円」の辛すぎる老後生活 (※写真はイメージです/PIXTA)

保険料納付免除による年金への影響は?

国民年金には生活が困窮した場合など、保険料の支払いが難しいときの収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、保険料免除制度・納付猶予制度があります。

 

国民年金保険料の免除制度の条件に該当する場合、一定期間納付を免除できますが、保険料納付免除の恩恵を受けることで将来受け取る年金にどのような影響があるのでしょうか。実際の受給額がどう変化するか、ひとり親を例に解説します。

国民年金の「免除制度」とは

国民年金第1号の被保険者は、毎月の保険料を自分で納める必要があります。しかし、所得が少ないなど、保険料を納めることが困難な場合もあります。その場合は、保険料の免除や保険料の納付を猶予する制度があります。この制度は申請することにより承認されます。

 

免除や納付猶予が承認されるには、所得審査があります。所得の計算は扶養している人がいる場合、次のように計算し免除や納付猶予が決まります。

 

(1)全額免除:前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円


(2)4分の3免除:前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等


(3)半額免除:前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等


(4)4分の1免除:前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等


(5)納付猶予制度:前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

 

上記以外に届出により免除される法定免除があります。法定免除となるには次の事由の人となります。

 

(1)生活保護の生活扶助を受けている人


(2)障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている人

 

(3)国立ハンセン病療養所などで療養している人