苦しい思いもいっぱいしてきた会社員。せめて老後は悠々自適に暮らしたい……そう願うのは当然のことでしょう。色々なシミュレーションを参考に立てたマネープランをもとに、夢を実現する人は多いようです。しかしそこには決定的な落とし穴が……みていきましょう。
年金月28万円・月生活費37万円の80代・元共働き夫婦でもムリ?とても払えない…「老人ホーム請求額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

計算上、共働き夫婦なら「年金だけで暮らす老後」も夢ではない

現役引退後の老後生活。具体的なイメージをもつのは難しく、「いったいどれくらいの費用が必要なのだろう」というのは、年金生活を控えた世代だけでなく、20代、30代と若い世代の人にとっても大きな関心ごとです。

 

2022年度、国民年金(老齢基礎年金)は満額で月6万4,816円。厚生年金(老齢厚生年金)は現役時代の収入によって受給額は異なり、加入期間2003年4月以降であれば「平均標準報酬月額✕5.769/1,000✕加入月数(480ヵ月)」で計算できます。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均受給額は5万6,358円。厚生年金は月14万6,145円。繰り上げ受給を考慮して、65歳以上平均でみてみると男性で17万0,391円、女性で10万9,205円となっています。

 

総務省『家計調査』によると、65歳以上の無職夫婦世帯の消費支出は月22〜23万円程度、税金や保険料なども合わせると、月25万〜26万円程度の支出です。それに対して、公的年金の収入は21〜22万円程度。毎月3〜4万円程度、赤字となり、その分は貯蓄などで補填するというのが平均的な高齢者夫婦の家計です。

 

ただ現在の高齢者夫婦は、会社員の夫と専業主婦の妻という組み合わせが多く、平均値を押し下げているだろう考えられます。いまの現役世代の主流である「共働き夫婦」であれば、単純計算、年金収入は月28万円。インフレによる物価高などの影響はさておき、「年金だけで暮らしていける」というのが平均的な老夫婦像となるかもしれません。

 

ちなみに前出の『家計調査』で貯蓄額をみていくと、全世帯平均は1,454万円。負債を差し引いた純貯蓄額は598万円です。世帯主が50代の世帯の純貯蓄額は1,123万円、60代では1,987万円。年金生活をスタートさせることには、おおよそ2,000万円程度の余裕がある、というのが平均的なイメージのようです。