損切りが上手くできないとFXで勝つことは厳しいです。しかし本当に損切りをしないと勝てないのでしょうか? 今回は「上手く損切りする」というFX必勝セオリーの逆をいく「損切りをしないトレード」で勝つことができるのか、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。
「上手く損切りすること」がFXで勝つセオリーだが…「損切りせずに勝つこと」はできるのか?【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

損切りしないトレードを実践してみると…

損切りをしないための条件として、「取引ロットを限りなく小さくすること」と「証拠金維持率が低下したときに都度入金すること」の2つを抑えました。この2つの条件を念頭に置いて実際に損切りしないトレードを実践してみましょう。


損切りをしないトレードを実施していると、取引ロットを限りなく小さくすると得られる利益が思った以上に小さくなることを実感するでしょう。100pipsの利益を得たとしても最小限に抑えた取引ロットではわずか数百円の利益に過ぎません。損切りをしないためにFXのメリットであるレバレッジを活かしていないので、やっていることは外貨預金と大差ありません。最小ロットで十分な利益を出すためにも、証拠金維持率が低下した際に追加入金するためにも大きな元手が必要であることを実感するはずです。

 

ここでようやくFXの最大のメリットが、少ない元手にレバレッジをかけて大きな取引ができることだと痛感するはずです。トレーダーが一度は夢見る「損切りしないトレード」とは「レバレッジが存在しない外貨預金」とさほど変わりがないのです。

FXのメリットを十分に発揮するために「損切りは必須」

損切りをしないトレードと聞くと精神的にも負担がかからない素晴らしい投資と思われがちですが、その内容は外貨預金と大差ありません。FXの最大のメリットは少ない元手でもレバレッジ次第で大きな規模の取引ができるということです。しかし外貨預金とは異なり、レバレッジをかけた取引は小さい値動きでも一定の含み損で損切りをしないと強制ロスカットされる可能性があります。


FXトレードを始めるトレーダーのなかには少ない資金を元手に大きな利益を得る、という野望を抱いている人もいるでしょう。損切りをしないトレードはリスクを小さく収められますが、得られる利益も小さくなってしまいます。

 

FXで莫大な資産を形成したいと考えるトレーダーには損切りしないトレードは向いていません。少ない元手で大きな利益を得るためには大きなリスクを張ることが求められます。しかし、大きなリスクを取るということはそれ相応の対策を取らなければいけません。そこで求められるのが適切な損切りです。FXでリスクを取りながら安定的に利益を得るためには適切な損切りが必須です。

 

今回の記事では損切りをしないトレードをするための条件を考えましたが、そのようなトレードではFXのよさを潰しかねないという結論で終わりました。誰もが一度は考える損切りをしないトレードを行うことは可能ですが、FXで多くの資産を形成したい人には向いていません。この記事が多くの人にとって損切りの重要性をいま一度考えるキッカケになったら幸いです。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員