60歳定年…給与は30代前半の水準まで大幅減少
超高齢化社会に対応するように、長く働くことができる環境が整備されていっています。定年といえば60歳というイメージが強いですが、最近は嘱託社員など雇用形態を変え、それまで勤めていた会社で働き続けたり、再就職したりと、60歳以降も引き続き働く人も増加。働くことを生きがいに感じている人、年金支給が始まる65歳まで収入を得たいとする人、働かないと生きていけない人……事情はさまざまですが、どうも年金についても良い話は聞きませんから、働けるうちは働く、というのが人生100年時代といわれている社会では正解なのかもしれません。
ただ60歳で定年を迎えて、モチベーションを保つのが大変だという声はよく聞かれます。それまで現役バリバリで働き、重要な仕事を担っていたのに、定年後の仕事ときたら、誰もができるような簡易なもの……それまでのキャリアを活かすことができず、働く意欲が急激に減退するケースは多いといいます。
定年後の人材をどう活かしていくか試行錯誤という事情のほかに、キャリアを活かした仕事だと人件費が高くついてしまう……そんな企業側の苦労も見え隠れしています。ただ定年以降の給与も、モチベーションが急減退してしまう、ひとつの要因です。
日本のサラリーマンの平均的な給与は、20代前半で月24.3万円、年収で330万円ほど。それが年齢と共に上昇し、50代前半で44.3万円、年収で671.9万円とピークに達します。55歳ごろに役職定年を迎える企業も多いので、50代後半の給与は若干下がるものの、高水準を維持したまま定年を迎えます。
しかし60代になると月33.5万円、年収で477.7万円と、月収で約25%、年収で約30%も大幅に減額。一気に30代前半の頃の給与水準まで落ち込むわけですから、仕事へのモチベーションが下がってしまう人がいても仕方がないでしょう。
【男性会社員の平均給与の推移】
「~19歳」:205,600円/2,619,500円
「20~24歳」:243,200円/3,329,700円
「25~29歳」:290,900円/4,185,300円
「30~34歳」:331,900円/4,859,800円
「35~39歳」:369,000円/5,456,800円
「40~44歳」:396,500円/5,911,100円
「45~49歳」:418,600円/6,273,400円
「50~54歳」:443,900円/6,719,400円
「55~59歳」:440,900円/6,660,700円
「60~64歳」:335,700円/4,777,200円
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出
※数値左:平均月収(きまって支給する現金給与額)、右:推定年収