労働環境が改善され、長時間労働など昔話のように語られるようになりましたが、一方で「残業時間は減っていない」という実態があります。それは、民間企業だけでなく公務員の世界でも同じこと。みていきましょう。
平均手取り32万円だが…「精神的にツラいです」疲れ切った「国家公務員」の悲痛 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人…「労働時間」は減少も「残業時間」は増加

長時間労働なんて、昭和時代の話……。なにかとコンプライアンスが厳しくなっている昨今、「24時間働けますか?」などという問いかけに対して、「はいっ!」といっていた日本のサラリーマンは、もはや歴史の1ページになっています。

 

日本における労働者1人あたりの年間総労働時間は緩やかに減少傾向。バブル崩壊後の1993年。所定内労働時間は1,806時間、総実労働時間は1,920時間でしたが、コロナ禍前の2019年にはそれぞれ1,542時間、1,621時間と大きく減少しました。

 

しかし所定外労働時間は1993年に114時間だったのに対し、2019年は127時間。いわゆる残業時間は減っていないという事実があります。

 

【所定外労働時間の推移】

1993年:114時間

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2003年:120時間

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2013年:127時間

2014年:132時間

2015年:132時間

2016年:129時間

2017年:131時間

2018年:129時間

2019年:127時間

2020年:110時間

 

出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査』より

 

厚生労働省『令和3年版過労死等防止対策白書』によると、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で数値目標の対象とされている月末1週間の就業時間が40時間を超え、さらに60時間以上をも超える人の割合は、緩やかな減少傾向にあり、2019年には10.9%で、おおよそ292万人。年齢別にみていくと、男性では「40代」「30代」が高く、同年代の15%前後を占め、女性では「60代以上」「50代」が女性平均を上回っています。

 

また企業規模別には大きな差異はないものの、企業規模が小さいほど、長時間労働者の割合は高くなる傾向にあるとしています。さらに業種別にみていくと、どの業界でも長時間労働者の割合は減少傾向にあるものの、2019年「運輸業、郵便業」で15.8%、「教育、学習支援業」で10.5%、「建設業」で9.7%と、高い傾向にあります。