
年金保険料を払っていれば、死んでも家族を支えることができる
——給与からたくさん天引きされて、年金が1円ももらえないなんて、悲劇!
そう嘆く必要はありません。要件を満たしていれば、年金を手にする前に亡くなったとしても、遺族を支えることが可能です。
遺族基礎年金
まず遺族が手にできるのが「遺族基礎年金」。亡くなった人が①~④のいずれかの条件を満たしている場合、死亡した人に生計を維持されていた遺族、具体的には「子のある配偶者」「18歳になった年度の3月31日までの子」が、遺族基礎年金を受け取ることができます。
①国民年金の被保険者である
②60歳以上65歳未満で日本国内に住所がある
③老齢基礎年金の受給権者である
④老齢基礎年金の受給資格を満たしたている
年金額(2022年4月~)は、子のある配偶者であれば「77万7,800円+子の加算額」、子どもであれば 「77万7,800円+2人目以降の子の加算額」。子の加算額は1人目および2人目の子で各22万3,800円、3人目以降は各7万4600円になります。
遺族厚生年金
亡くなった人が、次の①~⑤のいずれかの条件を満たしている場合に受け取れるのは「遺族厚生年金」。
①厚生年金保険の被保険者である
②死亡した原因の病気やけがが、厚生年金の被保険者期間に初診日があり、その初診日から5年以内に死亡したとき
③1級・2級の障害厚生年金、または障害共済年金を受けとっている
④老齢厚生年金の受給権者である
⑤老齢厚生年金の受給資格を満たしている
受け取れるのは、死亡した人に生計を維持され、優先順位の高い遺族。受け取れる年金額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です
優先順位1位:妻
優先順位2位:子
*18歳になった年の3月31日までの子、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子
優先順位3位:55歳以上(死亡当時)の夫
優先順位4位:55歳以上(死亡当時)の父母
優先順位5位:孫
*18歳になった年の3月31日までの孫、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の孫
優先順位6位:55歳以上(死亡当時)の祖父母
寡婦年金、死亡一時金
死亡した夫と妻が①~③の条件を満たし、妻が60~65歳の場合に受け取れるのが「寡婦年金」。夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3を受け取ることができます。
①夫が、死亡日の前日に国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間、および国民年金の保険料免除期間が10年以上あること
②夫と10年以上継続して婚姻関係(含む、事実上の婚姻関係)にあること
③妻が夫に生計を維持されていること
また死亡した人が「死亡前日に、第1号被保険者として保険料を納めた月数が36ヵ月以上ある」「過去に老齢基礎年金・障害基礎年金を受給されていない」という条件を満たしていれば、保険料を納めた月数に応じて12万~32万円の死亡一時金が支給されます。支給されるのは、「配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹」と優先順位の高い人になります。
それぞれ留意事項があるので、日本年金機構のホームページなどでしっかりと情報をチェックしましょう。
このように年金保険料を納めておけば、万が一のことがあっても、遺族を支えることができます。「納めた保険料はどうなるんだ!?」という疑問もすっきり解決、というわけです。ただそれで家族が暮らしていけるかといえば人それぞれ。考えたくもないことですが、大切な家族、万が一のことがあっても路頭に迷わぬよう、常に準備万端でいることが肝心です。