悪質な年金滞納…最終的には「給与の差押え」も
——将来、年金がもらえるかどうかわからない
現役世代には年金への不信感があるかもしれませんが、国民年金は「日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満はすべて加入することになっている」とされていますので、どのような理由であれ、未納は勧められるものではありません。
国民年金保険料を納付期限までに納付しないと、「催告状→特別催告状→最終催告状→督促状」と書面が送付され、さらに電話や訪問などによる行政指導が行われます。督促状の指定する期限までに滞納している保険料を支払わないと「延滞金」が発生します。延滞金は納付期限の翌日から納付日の前日までの期間にかかり、延滞金の利率は期間が近年であれば8%程度ですが、期間が10年以上も前になると14%超に。
国民年金保険料を徴収する権利は2年間で時効ですが、督促は時効更新事由であり、時効期間はリセット。督促を受けてもなお納付を拒んでいると、財産を調査され、預金や給与、不動産などの財産は差し押さえとなります。コロナ禍により、2021年は46件、2020年は41件でしたが、コロナ禍前の2019年には2万0,590件ありました。財産の差し押さえになるのは未納者本人ですが、「同一世帯の世帯主」と「配偶者」は保険料の支払いについて連帯責任があり、世帯主や配偶者の財産も差し押さえを受ける可能性も。
——給料が差し押さえられたら、生活できないじゃないか!
全額差し押さえという無慈悲なことはなく、差し押さえの範囲は、額面給与から「①所得税・住民税」「②社会保険料など」「③納者本人につき10万円」「④扶養家族1人につき4万5000円」「⑤給料の総支給額から①~④を差し引いた金額の20%」を差し引いた額。全額差し押さえとはいかないまでも、かなり厳しいものになります。
自営業者の平均月収は額面で30万円、手取りで25万円ほど*。独身であれば、最大「手取り25万円-10万円-(15万円×0.2)=12万円」ほど差し押さえられる計算で、残り13万円で生活していかなければならないことになります。
*国税庁統計『事業所得者』平均給与より
保険料が払えない場合に対しては、さまざまなサポートがあり、納付困難に陥ったら、まずは近くの年金事務所に相談するのが正解です。年金制度に対して色々と思うところはあるでしょうが、滞納の代償はあまりに大きいことは知っておいたほうがいいでしょう。