トレードの格言「落ちるナイフを掴むな」とは?
「落ちるナイフを掴みにいく」とは暴落時に逆張りすることを比喩した表現です。現実世界で上から落ちてくるナイフを掴むともちろん痛く、場合によっては大怪我をする可能性があります。多くのプロのトレーダーは相場が暴落しているときに逆張りをすると、大きな損を出してしまうことを知っています。そのため、暴落時の逆張りは落ちてくるナイフを掴みにいくような行為だと比喩しています。
プロのトレーダーとなかなか収益を上げられない初心者トレーダーの決定的な違いは「無意識的に落ちるナイフを掴みにいっていないかどうか」です。逆張りの危険性を普段から意識できるようになるとトレードの成績も見違えるほど上達します。
次に暴落時になぜ逆張りすることが難しいのかを考えていきましょう。また、なぜ暴落時の逆張りが身を滅ぼすような損失を出してしまうのかを解説します。
暴落時に逆張りすることはなぜ難しいのか?
急激に一方向に変動するチャートを見て、誰しもが「ここで逆張りすれば短期的に大きく取れるのではないか?」と一度は思ったことがあるでしょう。しかし現実はそこまで上手くいかず、無駄な損を出してしまうという結果に収束することがほとんどです。ではなぜ直感的に簡単に思える暴落時の逆張りはこんなにも難しいのでしょうか? ポイントは「誰かの損切りが大きく相場を動かしているということ」です。
「ボリンジャーバンドなどのテクニカル的にはそろそろ下落が止まるはずなのになぜ暴落が収まらないのか」このようなことを思ったときにはまず、その暴落の時点で得をしている人と損をしている人を考えてみましょう。
暴落時に得をしている人は暴落前に新規の売りのポジションを持った人です。暴落の気配にいち早く気づき、新規のポジションを持った少数派です。
逆に損をしている人というのは、暴落が起きた時点で持っているポジションの手仕舞いが出来なかった人を指します。損切りができずダラダラとポジションを持っている人のほうがこの時点では多数派でしょう。
直感的、テクニカル的に止まるはずの暴落が止まらない理由は「損切りができない人がたくさんいるから」です。損切りができない人が損に耐えられなくなり、損切りをすることでさらに相場は下落していきます。この損切りの連鎖が終わるまで暴落は続くのです。
そしてなぜ暴落時の逆張りが難しいのかというと、損を抱えている人がどれだけいるのかを把握できないからです。損切りが続くうちは暴落が続くということを前提にすると、逆張りを成功させるには損を抱えた人の損切りが終わる位置を当てなければなりません。テクニカル分析をしているようにみえて実はリスクが高く負ける確率も高いギャンブルをしているようなものなのです。このことからプロのトレーダーは決して暴落時に逆張りをしません。