初心者にオススメな投資先…「競争にならない企業」とは
ビジネスとは激しい競争ですが、実は競争に勝っている企業は競争していない、という逆説的な現象があります。 それが何を意味するか、そしてそれをどう投資に生かすべきかを、ご紹介していきましょう。
米国の巨大IT企業を考えてみましょう。Microsoftはパソコン用OS、Amazonはネット通販、Googleは検索エンジン、Appleは独自OSと端末、といった具合に、それぞれが圧倒的なシェアを占める中核事業を持っています。
そしてすでに世の中がそれなしでは動かないようなレベルになっているため、その分野での新規参入は非常に難しいといえます。それらの会社は、「IT」という産業分野で激しい競争を繰り広げているイメージがあります。確かに各社もそれぞれいろいろな事業を行っているため、そういった競争が繰り広げられている分野もあるでしょう。
しかし実は、それぞれが圧倒的シェアを持つ中核事業を持っていて、大きな収益を安定的に得られるがゆえに、いろいろな分野に挑戦して競争をすることができるのです。要するにそれらの会社は、住み分けている部分がちゃんとあるわけなのです。
そんな圧倒的シェアを持つ事業は、「もう競争などない」といってもよい状態になっています。「黙っていてもお金が入ってくる状態」といってもよいのかもしれません。そしてそれが、「競争に勝っている企業は競争していない」という言葉の真意なのです。
「圧倒的シェア」を持つと株が下がりにくい
そして、そんな中核事業を持つ会社は、投資先として非常におすすめできます。 すでに競争がないので、顧客の獲得と維持に無理をする必要がありません。
したがって経費を抑えやすく、一定の利益率を保てるはずです。そして長期にわたる安定した利益が予想できますので、安定した配当が可能ですし、会社の純資産も増える一方でしょう。
株価には、その会社の将来への期待が反映されます。ですから、「あの会社はあの事業をしているため、毎年必ず一定の利益を出せる」となれば、その会社の将来が危ぶまれることはありません。1度買ったら保有し続ける人が多くなるでしょう。そのため、そういう会社の株は一定以上下がりにくい傾向を示すのではないでしょうか。
また、毎年純利益を積み重ねていくことにより、純資産が増えていきます。そして「純資産に対する株価の倍率」である「PBR」は、株価が変わらず純資産が増えれば低下していきます。結果としてPBRが低く割安だと判断されますので、その点からも株価が一定以上下がりにくい傾向が生まれるのではないでしょうか。
要するに、圧倒的シェアを持つ事業を有していて、「心配不要」な会社の株は、下がりにくいのです。 ただし、「本当に圧倒的なシェアを占めているか」「その市場はどれくらいの大きさか」「実際に毎年安定した純利益を出しているか」など、投資をする前には必ず数字による裏付けを確認しておいたほうがよいでしょう。