無職高齢者夫婦の貯蓄額「平均2,450万円」だが…
さらに平均貯蓄額2,450万円という、無職高齢者夫婦の貯蓄事情をみていきましょう。
【65歳以上夫婦(無職世帯)の貯蓄事情】
貯蓄額:2,450万円
《内訳》
「普通預貯金」641万円
「定期預貯金」964万円
「生命保険」404万円
「有価証券」438万円*
*そのうち「株式」228万円、「投資信託」129万円、「債券」70万円
出所:総務省『家計調査 貯蓄・負債編』(2021年)より
※数値は各々の平均値であり、足しても貯蓄額にはならない
2020年と比較すると、貯蓄では160万円ほど増加。普通預金と有価証券でそれぞれ50万円ほど増加。預貯金と投資でバランスよく貯蓄額は拡大しています。
ただ平均値では老後資金を心配する必要はありませんが、これはあくまでも平均であり、一部の人が大きく数値をあげている可能性があります。できればちょうど真ん中である、中央値も確認しておきたいところ。
別の調査になりますが、金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』(2021年)をみていきましょう。世帯主60代世帯の平均貯蓄額(保有金融資産額)は平均2,427万円、70代世帯で2,209万円。一方、中央値で60代世帯で810万円、70代世帯で1,000万円。ここには「貯蓄なし(金融資産なし)」と回答した人も含めたものなので、「貯蓄あり(金融資産あり)」と回答した人の数値をみてみると、60代世帯では平均は3,014万円、中央値は1,400万円。70代世帯では平均2,720万円、中央値は1,500万円となります。
平均では「老後に問題なし」でしたが、中央値でみると「老後は少々心許ない」というのが、高齢者世帯の実情が見えてきました。余裕のある暮らしを叶えられるのは、ほんの一部の高齢者だけ。引退して悠々自適な老後、しかしそこには常に経済的な不安が付きまとう……これが日本の高齢者のよくあるパターンなのかもしれません。