縁あって結婚したけれど、もう限界。話し合いを続けてきたけれど、離婚調停でも決着に至らず……そうなると離婚を求める側が「離婚訴訟」を家庭裁判所に提起することになります。訴訟で問われる「離婚事由」と、訴訟での証人尋問についてみていきます。
裁判で問われる「離婚事由」、緊張の「元夫婦の証人尋問」の実態 (※画像はイメージです/PIXTA)

離婚訴訟になって初めて「離婚事由」が問われる

離婚訴訟は、調停と異なり話し合いの色彩が後退します。もちろん調停委員はいなくなり、法廷で裁判官に対して書面と証拠を提出し、主張反論をすることになります。そのなかで、裁判所がはじめて民法に定める離婚事由があるかをジャッジするのです。

 

離婚事由というのは前出のとおり、①不貞 ②悪意の遺棄(生活費が払われず放置されたなど) ③生死不明 ④強度の精神病 ⑤その他婚姻を継続したがたい重大な事由 があった場合に判断されます。

 

これらは、いずれも夫婦の婚姻関係が破綻し、回復の余地がないレベルに達しているかということをジャッジするもの。特に⑤の「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかないかは、別居の期間や、別居に至る経緯、別居後の修復へのアプローチがあったかどうかで判断されます。

元夫婦の証人尋問、なんとも言えない緊張感が漂う

離婚訴訟も訴訟ですから、証人尋問をすることも多くあります。裁判所が非公開とする裁量を持っていますが、原則としては公開の手続です。裁判所からは尋問手続きの前と後で、それぞれ和解の勧告がされることが多いです。訴訟ともなるとさすがに弁護士を起用されている方が多い印象ですが、なかにはご本人で対応されている方も。

 

縁あって夫婦となったふたりが、証人尋問の際、法廷で向き合ってこれまでの来し方を語られる時間は、他の訴訟事件にはない独特の緊張感があります。調停をはじめてから第1審の判決が出るまでにおおむね1〜2年弱。どちらかが控訴、上告をすれば、判決の確定までには2〜3年を要することもまれではありません。