縁あって結婚したけれど、もう限界。話し合いを続けてきたけれど、離婚調停でも決着に至らず……そうなると離婚を求める側が「離婚訴訟」を家庭裁判所に提起することになります。訴訟で問われる「離婚事由」と、訴訟での証人尋問についてみていきます。
裁判で問われる「離婚事由」、緊張の「元夫婦の証人尋問」の実態 (※画像はイメージです/PIXTA)

離婚事由が意味をなすのは「離婚訴訟」になった時から

当たり前ですが、「離婚事由があるかないか」は、離婚訴訟の時にはじめて意味を持ちます。それまでの協議・調停では、仮に離婚事由があろうとも、相手に「別れたくない」と言われればそれまでです。仮に離婚事由がなくても、相手が離婚に応じてくれれば離婚は成立します。まずは相手が離婚に対して「同意があるかどうか」、これが大前提になってくるのです。

 

ですので、「これって離婚できますか?」というご質問については、「相手が同意してくれればできる。裁判になったらどうかというと…」というご説明になることが非常に多いのです。

離婚事由となりえる5つの項目とは

離婚事由は、以下の5点です。一つずつ解説しましょう。

 

①不貞・不倫

これはわかりやすいですね。相手が否認した時には、「不貞について証拠があるか」「その不貞の時期がいつであるか」などが問題になります。

 

②悪意の遺棄生活費が払われず放置された

こちらは生活費もいれずに、家にまったく帰らないなどの場合です。「家賃と水道光熱費は入れていた」「週に何回かは帰ってきています」では足りませんので、厳しい要件です。生活費が不足している場合などに主張されることはありますが。

 

③生死不明

当然ながら争われることは少ないです。

 

④強度の精神病

重度の統合失調症などで意思疎通がとれないレベルの場合をいいますから、うつ病や発達障害でこれが認容されることはあまりないかと思います。むしろ、このような弱者にあたる相手方に離婚を求めることが、夫婦の夫助義務に違反するとして離婚が認容されないことにもつながるので、主張する際には注意が必要です。

 

⑤その他、婚姻を継続したがたい重大な事由

最たるものは「別居」です。肉体的、精神的な暴力(DV、いわゆるモラハラといわれるもの)は、程度もありますが、別居と組み合わさってはじめて離婚事由を構成することになる場合も多くあります。客観的にその夫婦が破綻していて、回復の余地がないかどうかを問題とするもので、結婚期間に対してどれだけの期間別居が続いたか、その後復縁のアプローチがあったかなどが問題とされることが多いです。