家族の迷惑になりたくないから…老後の準備は自分で
——人生の最期をどのように迎えたいか
日本財団が、当事者(67歳~81歳)とその子世代(35歳~59歳の高齢の親を持つ人)に対して行った全国意識調査によると、人生の最期を迎えたい場所として「自宅」が最も多く58.8%。次いで「医療施設」が33.9%となりました。一方で「絶対の避けたい場所」としては「子の家」が最も多く42.1%、次いで「介護施設」が39.5%でした。
「自宅」を選ぶのは、「自分らしくいられる」「住み慣れた落ち着ける場所」といった理由から。「医療施設」「介護施設」は「プロに任せられるから安心」「家族に負担や迷惑をかけたくない」といった理由から。
このようにみていくと、高齢者は「家族に迷惑をかけたくない」といった意識が強いことが分かります。これは老後、全般に共通する思いかもしれません。2年前、世間を騒がせた「老後資金2,000万円問題」。「老夫婦が老後30年間暮らしていくには、年金以外に2,000万円不足する」といったもので、老後不安が一気に高まりました。
ただこのとき叫ばれたのが自助努力。「自身でなんとかする」ということで、家族の手を借りるようなことは触れられませんでした。昔の日本であれば「子育てにお金をかける分、老後の面倒は子どもがみる」というのも珍しいことではなかったでしょう。いまは核家族化が進み、家族であっても一定の線をひく人が増えました。「老後のことは自分で何とかする」というのが、いまや一般的です。
だからこそ考えたい、老後生活をいかに乗り切るか、という将来必ず訪れる問題。厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金を受け取っている65歳以上男性の平均受給額は17万0,391円、女性で10万9,205円。また自営業者の場合、受け取れる年金は満額で6万4,816円です。
また総務省『家計調査』によると、65歳以上の高齢者夫婦の消費支出は、平均26万円ほど。もちろん「年金だけで十分生活していける」という人もいるでしょうが、多くは「年金だけでは心許ない」と考えるでしょう。その際にひとつの目安になるのが、さまざまな調査を元に語られる「老後を見据えた必要額(貯蓄額)」。参考にする調査によって、その額は夫婦で800万円とか、2,000万円とかまちまちなので、最終的には自身に置きかえて検討するのが正解です。