首都圏の新築マンション販売価格が「平成バブル」を超えるなかでも、分譲マンションの需要は堅調です。理由のひとつに、いわゆる夫婦共稼ぎの「パワーカップル」の存在があります。しかし、FP事務所ストラットの代表である伊豫田誠氏は、「勝ち組だと思われるパワーカップルでも、ちょっとした判断ミスで生活苦に陥るケースがある」といいます。それはどういうことか、2組の相談者の事例をみていきましょう。
世帯年収1,400万円超のパワーカップル…「元銀行員の妻の偏見」で2,400万円を逃す大誤算 (※写真はイメージです/PIXTA)

「現金は安全で融資はリスク」はもう過去の話

今後も不動産価格が上昇していくとは限りませんが、現状の円安を容認している政府や日銀は、安定したインフレ(政府目標2%)が続くまでしばらく大規模な金融緩和を続ける方針です。

 

そんななか、毎年日本トップクラスの純利益(2~3兆円)を出すトヨタ自動車が、実は日本で1番有利子負債が大きいことはあまり知られていないのではないでしょうか。その額はなんと約26兆円です。

 

この低金利の状況下、融資を活用して先行投資などを行っているからこそ、順調に利益を上げていると考えられます。融資の負担も、インフレに比例して軽減していくからです。

 

不景気では稼ぎにくく貯蓄を増やしにくい状況だからこそ、企業や個人が融資を活用して資産を増やしていくことは至極当たり前となっています。

 

しかし、A夫妻は違ったようです。銀行に勤めていてもお金の知識に明るいとは限りません。

 

A夫妻の後悔の念は強く、奥様は「退職前にお金や経済についてもっと勉強しておけばよかった」と漏らします。銀行勤務の自分が、「融資はリスクが大きく金利の支払いは損」だなんて、本気で思っていたことが恥ずかしいと。

 

現金貯金・株式(投信)・外貨為替・保険・不動産など、近年将来のための資産形成手段は多様になってきました。そんななか、リスクを避けるつもりで現金貯金に頼りすぎると、インフレによって価値が下がれば反対にリスクを高める結果になりかねません。

 

偏った資産形成にならないためにも、中立的なファイナンシャルプランナーに相談することが重要です。

 

 

伊豫田 誠

FP事務所ストラット

代表/不動産投資専門ファイナンシャルプランナー