依然として景気の先行き感は不透明で「失業率の上昇」が懸念されていますが、世界でみれば日本は優等生で常に「低失業率」を誇っています。一方で「1年以上失業状態にある人」は多いという側面があり、「働けるのに働かない」いわゆる引きこもりが問題視されています。みていきましょう。
氷河期世代のエリート、正社員からの大転落…「中高年の引きこもり」に待ち受ける厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

中高年の引きこもり…エリートから転落した人たちの末路

たとえばアメリカは、失業率の振り幅が大きな国。景気悪化のニュースで「失業率が10%を超えました」というようなことを聞いたことがあるでしょう。逆に景気回復のニュースでは「失業率が5%台まで回復……」というように、とにかく日本とは比べものにならないくらい、数値が上下に動きます。それだけ米国では人材の流動化が進み、一方で日本は固定化されがち、ということでしょう。

 

長期間の失業で、日本で問題視されているのが「働けるのに働かない」、いわゆる引きこもり。内閣府が2018年に行った『中高年のひきこもりに関する実態調査』によると、満40歳から満64歳までのひきこもりの出現率は1.45%で、推計数は61.3万人。

 

引きこもりになったきっかけとして最も多いのが「退職したこと」で、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」、「職場になじめなかったこと」が続きます。引きこもりとなり「働けるのに働かない」状態になった人たちの多くは、元は働いていた人たち、というわけです。

 

特にいまの40~50代前半は、いわゆる氷河期世代。就職したくても就職先がないという時代の人たちです。そのなかで就職し、正社員になれた人は、エリートといえるかもしれません。

 

そのようなエリートと呼べる人たちでも、希望した業種、職種で就職が決まったのはほんのわずか。正社員になれないよりまし、として就職を決めたケースが多くあったのです。

 

雇われる側がいまよりもずっと立場の弱かった時代。いまのようにパワハラなどを取り締まる法律もなく、「やめたければ、やめてもいいぞ」、そんな罵詈雑言を浴びせられることもしばしば。そこで心が折れ、退職後に引きこもり……そんな中高年も多いのです。

 

そんな中高年の引きこもりの人たちの生活を支えるのは、その親。しかしすでに高齢者となっていて、いつまでも彼らを支えられるわけではありません。支えてくれる存在がいなくなったとき、生活が行き詰まるのは明らか。問題がさらに深刻化する……カウントダウンが始まっています。