老若男女、約8割の日本人が口にする老後不安。当事者となった高齢者でも6割強が不安を抱えているといいます。その元凶といえるのが、やはり「お金」。老後の生活不安の先にあるものとは……みていきましょう。
年金月平均14万円だが…「もう、生きていけない」日本の高齢者が手を染める、最悪の結末 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金、1円ももらえない…「無年金者」は全国に50万人強

決して楽ではない老後。しかし年金をもらえることは、幸せなことかもしれません。厚生労働省『令和3年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』によると、「年金収入なし」、つまり無年金の人は全国に52万1,803人。

 

【年齢別「年金収入なし」の人数】

65~69歳:26,108人

70~74歳:29,993人

75~79歳:153,699人

80~84歳:125,911人

85~89歳:93,784人

90~94歳:55,914人

95~99歳:30,132人

100歳~:6,262人

 

出所:厚生労働省『令和3年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』より

 

現在、日本国内に住む20〜60歳未満であれば、国民年金への加入が義務付けられていますが、年金を受給するには10年(120ヵ月)以上、保険料を納めなければなりません。しかし「困窮のため」「払う意識がなかったため」「海外生活が長かったため」などの理由から、年金を受け取れない人がいるのです。

 

もちろん無年金の人がすべて困窮状態にあるとは限りません。ほかに収入があり、悠々自適に暮らしている人もいるでしょう。ただその多くが生活苦に陥っていることは容易に想像できます。

 

無年金の状態で働けなくなると、生活は行き詰まることは明白。国としても2017年に保険料納付期間を25年から10年にしたり、通知を徹底したりと、さまざまな対策を行っています。また60歳から70歳までは国民年金に任意加入ができ、加入期間を満たすようにするなど、自身で対策を講じることもできます。

 

ただ年金収入があれば老後の安心が担保できるかといえば、そうではありません。それは年金の不正受給が後を絶たないことからも明らか。

 

つい先日も、秋田県で亡くなった母親の年金を不正に受給していたとして、59歳の息子が逮捕される事件がありました。さらに一昨年末には、徳島県で亡くなった夫の遺体を隠し、年金を不正受給していたとして70代の妻が逮捕されるという事件も。

 

同様の事件では、のちに「お金がなく、八方塞がり」といった状況が明らかになることがある意味定番です。何かしら犯罪を起こしてしまうのは極端な例で、ほとんどの高齢者は、あの手この手と工夫をしながら暮らしています。しかし犯罪予備軍といえる高齢者が大勢いることは、老後の生活に不安を抱えている人、無年金者の人、その数からも明らかです。