「財政破綻」「年金破綻」…日本悲観論の真実味
このような状況に対し、「このまま行けば日本の財政破綻は避けられない」といった悲観的な観測が目立ちます。また少子高齢化の影響が大きいとされる、20代や30代からは「自分たちのころには年金はもらえない」などという絶望的な声を耳にすることも。
実際はどうなのか、未来のことなので誰も分かるはずはありません。ただ悲観論の多くは、最悪のケースが重なった場合であり、相当のレアケース。また政務債務の債権者は国民であり、破綻などありえないという見解も。国が保有する資産を試算すると約1,000兆円以上あるため、バランスシート上も問題なしとされています。
とはいえ、将来的に財政的に余裕があるのかといえば、そうではないことは誰の目からも明らか。「いまの若者は年金がもらえなくなる」という不安は、真っ当なものでしょう。
しかしその不安は杞憂だというのが、多くの専門家の見解。いまの日本の公的年金は「おおむね100年持続できる設計」というだけあり、「日本が破綻しない限りは年金はもらえる」と言ってもよく、あまり悲観論ばかりを鵜呑みにするのも考えものです。
ただし、「いまの水準だけ年金がもらえる」ということではないことに注意は必要です。
いまの公的年金の制度は、所得代替率50%をキープできるように設計がされています。所得代替率とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(賞与込み)と比較してどのくらいの割合かを示す数値。
2019年の財政検証によると、現在の所得代替率は61.7%。50%近くまで下がったとすると、およそ2割ほど、目減りする計算です。つまりたとえ同じ受給額であっても、価値としては2割減っているということになり、その分は、自助努力でなんとかするしかない、ということになります。
また財政破綻以上に気にすべきは円安。昨今の物価高×円安の影響を肌で感じている人も多いでしょう。家計的に弱い存在である、年金生活者であればなおのこと。さらに高齢化がさらに進む中では、消費税率の上昇は避けられません。
あまりにも悲観的になることはないにしろ、現役世代の老後は現在の高齢者ほど厚遇とはいかないことは覚悟しておくべき。若い人ほど時間が味方してくれるので、長期的な資産形成で備えることが重要なのです。