収入のほとんどが年金となる高齢者。そのような人たちにとって「家賃」は節約が難しく、生活を圧迫させる要因になることも。さらに賃貸派の高齢者、特有の問題も。みていきましょう。
年金16万円、家賃7万円の負担が重く…「つらい」と吐露する、東京・年金生活者の晩年 (※写真はイメージです/PIXTA)

家賃負担が重くても、身動きできない年金生活者の実情

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、「東京都」の平均年金受給額(厚生年金)は15万9,393円。それに対し、「鳥取県」は12万7,047円でした(関連記事:『【2022年】都道府県「厚生年金」「国民年金」受給額ランキング』)。

 

東京と地方を比べた時、「物価は東京とそれほど変わらない」とか、「車は必須で維持費は結構かかる」など、地方だからといって、一概に生活費が安いとはいえないでしょう。ただ固定費となる家賃が、鳥取は東京の6割に対して、年金は8割。年金だけが頼りという高齢者にとって、東京での賃貸暮らしは少々厳しいところもあるようです。

 

また東京に限らず、全国的にいえるのは、「家主は高齢者を敬遠する」ということ。株式会社R65が行った調査では、高齢者の4人に1人が「不動産会社に入居を断られた」と回答し、「5回以上断られた」という人は13.4%にも上りました。

 

――生活が苦しいから、もっと家賃の安いところに引越しをしよう

 

そう考えたところで、高齢者の場合、適当な物件への引越しはハードルが高く、「家賃が高い」と感じる家に住み続けなければならない……そんなケースが多いのです。

 

そのような状況でありながら、「高齢者は賃貸住宅を借りづらい」という事実を知らない高齢者は3人に1人以上だとか。気づいたときには八方塞がり、という年金生活者は結構な数になると考えられます。家を持つのも、持たないのも自由。ただ高齢者に対する残酷な事情を知り、きちんと対策しておくことが重要です。