厚生労働省から2021年の『簡易生命表』が発表され、最新の平均寿命や、その年齢時点の平均余命などが明らかになりました。これらは自身の健康のほか、老後のマネープランについて考えるきっかけになるもの。最新のデータをもとに考えていきましょう。
平均寿命「女性87.57歳、男性81.47歳」だが…定年後「夫婦で25年生きる」ときに必要な衝撃の貯蓄額 (※写真はイメージです/PIXTA)

65歳、残り余命は男性で20年、女性で25年…夫婦で必要な貯蓄額は?

リタイア後、多くの人は年金がメインの生活となり、足りない分は貯蓄を取り崩して対応することになります。つまり老後を見据えると、どれだけ貯蓄があるかによって安心感が変わるといっていいでしょう。

 

仮に65歳でリタイアしたとすると、残りの余命は男性でおよそ20年、女性で25年。

 

――夫婦で老後は25年くらいかな……

 

そう考えた場合、どれほどの貯蓄があれば豊かな老後を送ることができるのでしょうか。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、自営業など国民年金の平均受取額は月額5万6,358円、厚生年金(第1号)の受取額は月額14万6,145円でした。厚生年金についてさらに男女別にみてみると、男性は17万0,391円、女性は10万9,205円です。会社員の場合、夫婦共働きであれば、月の年金受取額は28万円ほど、夫婦片働きであれば23万円ほどといったところ。

 

また公益財団法人生命保険文化センター『令和元年度生活保障に関する調査』で「夫婦2人の最低限の老後資金」をたずねたところ平均月22.1万円。「夫婦2人ゆとりある老後生活のための必要額」は平均36.1万円でした。

 

また金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)』によると、「老後のひと月あたりの最低予想生活費」は、全世代平均で35万円。実際に年金生活者も多いだろう60代で32万円、70代で31万円でした。

 

ライフスタイルによって、生活費はどれほどかかるのか、一人ひとり異なりますが、「最低でも30万円強は……」というのが、現在、年金をメインに生活している人たちのリアルなところでしょうか。

 

仮に片働き夫婦だとすると、1ヵ月の貯蓄の取り崩し額は8万~10万円程度。1年で120万円とすると、25年で3,000万円は必要という計算になります。さらにあくまでも「老後は25年」というのは仮定の話。65歳から25年経ち90歳になったとき、平均で男性は4年、女性は5年ほど余命があるとされています。

 

いつまで生きられるか……結局のところ分かりませんし、65歳で必要な生活費と、90歳で必要な生活費は当然違うので、老後資金を単純に算出できるものでもないでしょう。

 

しかし、実際に年金をあてにしている世代が「最低でも生活費、30万円強あれば……」というのが平均値であることは確かなこと。また今、私たちが経験しているように、急激な物価高で「貯蓄を取り崩していかないと生活できない!」と、予想もしていなかった事態に直面する可能性もゼロではありません。結局、不測の事態にも対応できるよう準備するには、早めに資産形成をスタートさせること以外になさそうです。