GAFAをはじめ圧倒的に成長力のある企業が多い米国と、それに比べ生産性の低下が指摘され、伸びが鈍いといえる日本。株式投資をするなら「迷わず米国株に投資すべき」との声が聞かれることもありますが、はたしていま、どちらに投資すべきなのでしょうか。株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が解説します。
投資初心者「日本株と米国株どっちに投資すべき?」…プロの回答 ※画像はイメージです/PIXTA

将来有望な米国企業…米国株は異常な割高に

米国の主要500社で構成される有名な株価指数に、「S&P500」があります。同じく有名な「ダウ工業株30種平均指数」以上に、米国株全体の動向を示す株価指数として認識されています。

 

そしてそのS&P500で構成される上場投資信託「Vanguard S&P 500 ETF」の2022年4月30日時点での各種指標は、以下の通りです。

 

実績PER……20.3倍
実績PBR……3.9倍

 

また、S&P500から時価総額の高い銘柄の指標をみていくと、2022年5月17日現在では以下の通りになります。

 

アップル……実績PER 25.67倍/実績PBR 37.90倍
マイクロソフト……実績PER 32.20倍/実績PBR 13.85倍
アルファベット(グーグル)……実績PER 51.76倍/実績PBR 8.96倍
アマゾン……実績PER 33.60倍/実績PBR 8.16倍
テスラ……実績PER 129.35倍/実績PBR 24.79倍

 

現在価値と比べると、S&P500全体でも十分に割高といえますし、そのなかでも時価総額の高い人気企業は特に、異常な割高であることがおわかりでしょう。

 

そしてここにひとつ、疑問が生じます。

 

”米国企業は将来有望かもしれない。しかし株価はそれを織り込んで十分割高になっている。そのうえでさらに株価は伸びていくのだろうか?”

一方「割安」といえる日本株

一方で、日本の主要225社で構成される株価指数「日経平均株価」における同じ指標は、どうなっているのでしょうか。2022年5月16日現在は以下のとおりです。

 

実績PER……13.25倍
実績PBR……1.15倍

 

こちらの場合、現在価値と比べるとそう割高ではないのがおわかりでしょう。そして個別銘柄をみれば、安定的に利益を上げていて財務良好であるにも関わらず、十分に割安な銘柄も珍しくありません。そして全体的な傾向として、日本株は米国株よりはるかに割安だといえます。

 

そこでもうひとつ、疑問を呈しておきましょう。

 

”日本企業の将来性には不安があるかもしれない。しかし株価はそれを織り込み済みで割安であるため、投資をして米国株以上に利益を出すことは十分に可能ではないか?”

 

要するに、「将来有望で割高な米国株」と「将来不安で割安な日本株」を比較した場合に、必ずしも投資対象として米国株が優れているわけではない、といえそうなのです。