もしも家族や親族が失踪したり、家出をして所在の確認ができなかったりしたら、最寄りの警察署や交番で「行方不明者届」を出すことになります。警視庁によると、その数、年間8万件にもなるとか。みていきましょう。
恐ろしい…年間8万人が行方不明になる、知られざる日本の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

まさか日本で誘拐なんて!犯罪に巻き込まれる子どもが増加

 

もちろん年間8万人の人が行方不明になり、どこかに消えてしまっている……という不思議な話ではなく、多くが届けがされたのち、所在確認等がされています。2021年中に所在確認等がなされた行方不明者(確認をした年次以前に受理した届出分を含む )は7万8,024人。

 

その内訳をみると、所在が確認されたのが6万5,657人、死亡が確認されたのが3,613人、届け出が取り下げたなどが 8,754人。なかには行方不明届が出されてから2年以上も経ってから所在確認がされた人が 2,041人、死亡が確認されたのが139人と、行方不明状態が長期間に及んでいるケースもあります。

 

所在確認等された数は確認をした年次以前に受理した届出分を含み、タイムラグがあるので正確な数字ではありませんが、経年で行方不明者数と所在確認等数を見ていくと、およそ95~98%で何らかの解決がされていると考えらます。一方で、行方不明のまま解決に至らないケースも、決して少なくないようです(図表)

 

[図表]年間行方不明者数と所在確認等数の推移

 

また前述の年齢別行方不明者であるように、10歳未満の行方不明者数は年間1,000人を超えます。幼い子どもの場合、自分の意思でいなくなることは考えにくく、一般的に考えられるのは、親が離婚し親権が取れなかったほうが連れ去るケース。さらに法務省『犯罪白書』によると、13歳未満の「略取誘拐・人身売買」被害は増加傾向にあります。


 

【13歳未満「略取誘拐・人身売買」件数の推移】

2010年:91件

2011年:86件

2012年:95件

2013年:94件

2014年:109件

2015年:84件

2016年:106件

2017年:72件

2018年:110件

2019年:114件

2020年:114件

 

出所:法務省『犯罪白書』より

 

世界では「子どもをひとり歩きさせるなんて虐待」といわれるような国も。それらの国と比べると、日本は安全な国であり、我が子が犯罪に巻き込まれるなど夢にも思っていないでしょう。地域のつながりが希薄になりつつあるいま、社会全体で子どもの安全を守る、という時代ではないかもしれません。個々が予防や対策について考える必要がありそうです。