多くの投資家が、株式投資で結果を出すためには冷静な分析力と一貫したメンタルが大切であるといいます。しかし、市場ではときに「勝負感」と呼ばれる直感を試される場面があると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。売りが売りを呼ぶようなパニック相場で勝てる人に共通していることとは……みていきましょう。
セオリーが通じない!パニック状態の株式市場で「勝てる人」と「負ける人」の違い【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

疫病、企業の不正…テクニカル分析が通用しなくなるとき

株式トレーダーなら誰しも「ボリンジャーバンド」や「MACD」などを用いてテクニカル分析をしたことがあるでしょう。テクニカル分析とは、過去の統計を用いて現在のチャートの推移を分析し、未来の動きを確率的に導き出す方法で、多くの株式トレーダーから支持を得ています。

 

しかし、まれにテクニカル分析が機能しない相場が訪れることがあります。それは世界的な疫病の蔓延、企業の不正会計など、「ほとんどの株式トレーダーが想定していなかった」出来事があったときです。

 

このような場面では投資家による株のパニック売りが発生し、株価が一方的に動くことがあります。噂が噂を呼び、多くの投資家は正常な売買判断をすることができません。このような状況では、過去の統計を用いるテクニカル分析はあまり機能しないといえます。

市場がパニックのときこそ「勝負感」を用いたトレードを

「勝負感」とは簡単にいうと「本能的・直感的に勝ちを導き出す力」のことです。

 

株式トレードのセオリーである「理性」「合理的」とは真逆で、一見短命な手法のように思えます。しかし、ほとんどの投資家が理性を失い、合理的な売買判断ができないような相場状況では「勝負感」こそがテクニカル分析以上に使える手法になるのです。

 

勝負感を用いたトレードの肝は、「現在の相場の流れに逆らわない」ことです。一例として「高値掴み・底値で空売り」が挙げられます。高値掴みも底値付近の空売りもまったく合理的とはいえませんが、過去でも未来でもなく、現在の動きだけに目を向けてトレードすることで力を発揮します。

 

この「勝負感」をつけるために必要なことは「徹底的な自己分析」です。自分がどんな相場展開のときに大胆な行動をするのか、反対にエントリーが慎重になるのか徹底的に洗い出します。自分の精神的な脆さを理解することは、テクニカル分析が効かない相場が訪れた際に大きな武器になります。日々のトレードにおける感情変化をメモに残すことで、その蓄積が役に立つのです。