4回目接種の効果は?海外の「18~60歳」「60歳以上」の報告から考える【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

4回目の新型コロナワクチン接種には、どのような効果が期待できるのでしょうか? 新型コロナの抗体検査およびワクチン接種に携わる現場の医師・小橋友理江氏が、海外の報告を基に解説します。

ついに始まった4回目接種、3回目接種と何が違う?

新型コロナの4回目接種が5月25日から始まった。対象者は、「努力義務」とされている60歳以上の方と、「接種推奨」とされている18歳以上かつ基礎疾患を有し入院中または通院中の方である。また、3回目接種から5ヵ月経過している必要がある。ファイザー社製またはモデルナ社製ワクチンを使用するのは3回目接種のときと同様である。

 

3回目までと異なるのは、4回目接種は重症化予防を目的として行われる、という点である。3回目接種もやっと終わったところなのに、と思われている方も多いと思われるが、先に4回目接種を行ってきた諸外国からはどのような報告がなされているのか、見てみたい。

ウイルスに対する免疫、抗体と細胞性免疫の変化は?

ブースター接種をすると、数週間後に抗体価はピーク(抗体価の上がりの頂点)を迎えることが知られている。このピークの高さは、3回目接種後と4回目接種後で比較したときに違いはあったのだろうか。

 

イスラエルにおける1050人(ファイザー社:154人、モデルナ社:120人、未接種者:776人)を対象とした研究(※1)によると、3回目接種後に比べて4回目接種後のほうが抗体価のピークの値はわずかに高く、ファイザー社製とモデルナ社製でピークに差はなかったとされている。3回目接種から時間が経過し抗体価が下がったものが、同程度まで回復すると言えるかもしれない。

 

新型コロナに対する免疫を考える上で、抗体価のみでなく「細胞性免疫」についても考える必要がある。大まかにいうと抗体は感染が成立するのを防ぐために必要であり、細胞性免疫は新型コロナが体に感染した後、重症化を防ぐことに大きく関係している。高齢者を含んだ133人について調べたイギリスの研究(※2)では、細胞性免疫の値も、3回目接種後と比較して4回目接種後では、同等かそれ以上に上昇している(複数の新型コロナ変異株に対する反応性も同程度に高かった)。

4回目接種の効果は?

■18歳~60歳における感染防御力は低い?

感染予防と重症化予防についてはどうだろう。まず18歳から60歳の医療者を対象とした先程の1050人のイスラエルの研究(※1)を見てみると、4回目接種から約1ヵ月までにおける感染予防効果はファイザー社接種群で約30%[95%信頼区間:-9-55]、モデルナ社接種群で約11%[95%信頼区間:-43-44]となっている。この研究は極めて参加者が少ないので、この研究だけからだと何とも言えないのだが、少なくとも18歳から60歳の医療者における4回目接種による感染予防効果は、十分でない可能性がある、と言えると思われる。

 

■感染防御力が低く見える最大原因は「主流変異株の違い」

2回目接種後には少なくとも4ヵ月頃までは感染防御の効果もありそうだったのになぜ4回目接種後には感染防御力が下がっているように見えるのだろう、ということについては、色々な要因が関係していると思われるが、一番大きな原因は、2回目接種後に主流であった変異株と、現在主流の変異株が異なることだろう。

 

もしかしたら現在の主流変異株に対してのワクチンが問題解決に役立つ可能性もあるが、新しいワクチンについても、現行のワクチンより防御や予防の成績が良いかを様々な段階を経て見極めながら、少しずつ進めていく必要があるのだろう。

 

■「60歳以上」では重症化予防に期待大

次に60歳以上を対象としたイスラエルの保健省のデータベースを使った125万2331人を対象とした研究(※3)を見てみると、感染防御有効率は4回目接種から4週間後では約50%[95%信頼区間:47-52]、6週間後では約33%[95%信頼区間:29-38]、8週間後では約9%[95%信頼区間:0-17]であった。

 

一方で重症化予防有効率は、4週間後では約71%[95%信頼区間:63-78]、6週間後では約77%[95%信頼区間:62-86]と、6週間までは減少が認められなかった(※注)

 

この情報を見ても、60歳以上の対象者に、重症化予防を目的として4回目接種が投与されるのは、理にかなっているということである。

4回目接種、あなたはどうする?

国内の重症者の約9割が60代以上の方々で占められていることを考えても、様々な意見や考えがあると思うが、私個人としては「努力義務」とされている4回目接種を受けておくのは、大事なことだと思う。

 

患者さんが治療法などで迷われたときに、医療者なら「ご自身だったら、またはご家族だったらどちらの治療法を選択しますか?」と聞かれることがあると思うが、もし私が4回目の新型コロナワクチン接種についてこの質問を受けたら、「私自身や私の家族が対象者に当てはまるなら、接種を受けることをすすめたい」と答える。個人レベルの経験に加えて、集団のデータも視野に含め考えてみることがおすすめである。

 

 

※1 Regev-Yochay G, et.al. Efficacy of a Fourth Dose of Covid-19 mRNA Vaccine against Omicron. N Engl J Med. 2022 Apr 7;386(14):1377-1380. doi: 10.1056/NEJMc2202542. Epub 2022 Mar 16. PMID: 35297591; PMCID: PMC9006792.

 

※2 Munro APS, et.al. Safety, immunogenicity, and reactogenicity of BNT162b2 and mRNA-1273 COVID-19 vaccines given as fourth-dose boosters following two doses of ChAdOx1 nCoV-19 or BNT162b2 and a third dose of BNT162b2 (COV-BOOST): a multicentre, blinded, phase 2, randomised trial. Lancet Infect Dis. 2022 May 9:S1473-3099(22)00271-7. doi: 10.1016/S1473-3099(22)00271-7. Epub ahead of print. PMID: 35550261; PMCID:PMC9084623.

 

※3 Bar-On YM, et.al. Protection by a Fourth Dose of BNT162b2 against Omicron in Israel. N Engl J Med. 2022 May 5;386(18):1712-1720. doi:10.1056/NEJMoa2201570. Epub 2022 Apr 5. PMID: 35381126; PMCID: PMC9006780.

 

※注 著者らは対照群と比較したRate ratio(RR)の感染予防効果で報告しているが、(1-1/RR)×100 により有効率を算出

 

 

小橋 友理江

ひらた中央病院 非常勤医師

福島県立医科大学放射線健康管理学講座博士課程

麻酔科医・内科医

 

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ひらた中央病院 非常勤医師
福島県立医科大学博士課程(放射線健康管理学講座) 麻酔科医・内科医

2014年、和歌山県立医科大学 医学部卒業。麻酔科医・内科医。公衆衛生学修士。越谷市立病院で初期研修、東京都立多摩総合医療センターで後期研修(麻酔)。2018年帝京大学公衆衛生学大学院修士課程。2019年より福島県立医科大学博士課程(放射線健康管理学講座)。サンライズジャパンホスピタル(カンボジア)での勤務などを経て、2020年より、ひらた中央病院の非常勤医師として診療や発熱外来、ワクチン接種などに携わりながら、新型コロナの抗体検査に携わっている。

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。

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