資産価値が高いタワーマンション。低層階でも億ションという物件は珍しくなく、一般層が購入するには難しい水準です。しかし中古であれば新築よりも1~2割ほど安く、手が届く場合も。しかし中古のタワマンならではのリスクを知っておかないと、早々に生活破綻という事態に直面するかもしれません。みていきましょう。
中古なら「タワマン」買えるかも…夢を叶えた普通の会社員、数年後に訪れる「生活破綻」の悲惨

中古のタワマンなら頑張れば買えるかな…その先に生活破綻の可能性も

中古でもタワマンを選ぶ理由は人それぞれでしょうが、メリットは新築のタワマンとほぼ同じで、主なものは「好立地」「資産価値」「設備」の3点。さらに高層階であれば「眺望」も加わってくるでしょうが、そこは中古といっても億超えの物件ばかり。一般層では検討が難しい水準です。

 

眺望は望めなくても、十分検討の価値のある中古のタワマン。一般的にいわれている通り、物件価格の2割の頭金を用意し、前出の9,000万円のタワマンを購入するとしましょう。当初5年の金利は0.6%、以降は1%で、返済期間は30年とすると、月々の返済額は当初5年は21万8,589円、以降は22万9,445円となります。

 

年収に占める返済額の割合である負担率は35%が上限といわれ、平均は22%程度といわれています。このケースだと、負担率15%で世帯年収は1,840万円、20%だと1,380万円、25%で1,104万円、30%で920万円、35%で788万円。平均よりも高い負担率となりますが、一般的な共働き夫婦でも、中古であればタワマンも夢ではない水準です。

 

そこで「よし、タワマン買うぞ!」と大きく舵をきる人もいるかもしれませんが、もうひとつ中古のタワマンに潜むリスクを知ったうえで検討したほうが身のためです。それはタワマンの管理費と修繕費。

 

タワマンの魅力といえば、一般的なマンションにはない豪華な共用設備。入居者専用のラウンジやジム、なかにはプールまで備えるようなところも。そんな設備に憧れを抱く人は多いですが、実際に使っても使わなくても、このような設備を維持するために管理費が徴収されます。1平米当たりの管理費は300円ほどといわれていますので、80平米程度のファミリータイプであれば、月2万4,000円の出費がローン返済にプラスしてかかります。

 

さらに修繕積立金は1平米あたり170円ほどといわれているので、同じく80平米であれば1万3,600円ほど。ただしタワマンの場合、分譲当初は多くの戸数を売らなければならないので、修繕積立金は安く設定し、購入予定者にアピールするケースが多く見られます。その積立金で、最初の大規模修繕はなんとか乗り切ったとしても、2回目の修繕に向けては大きく修繕費がアップというケースも珍しくないのです。

 

つまり中古のタワマンの場合、「ランニングコストの大幅アップ」という事態に直面するのが、新築よりもずいぶん近い将来だということ。月々の返済額でも相当頑張っている状況に、修繕費の大幅な上昇……果たして耐えることができるでしょうか。

 

中古のタワマンの購入を考えるなら、管理費や修繕積立金が適正か、またこれまで修繕が行われているのであれば、どのようなものだったのかなど、よく調べることは必須。これらを怠ると、せっかく夢を叶えたのに、入居間もなく生活破綻、タワマンから退場……そんなまさかの事態に直面するかもしれません。