株式トレーダーなら誰でも個別株の購入を検討するときにさまざまな情報を参考にするでしょう。SNSやインフルエンサーの投稿をチェックしている人も多いはずです。しかし、プロの株式トレーダーはSNSやインフルエンサーの情報を根拠に売買判断をしていないと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。その理由についてみていきましょう。
巷で話題の「人気銘柄」を買っても勝てない「納得の理由」【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

話題沸騰の人気株を買っても勝てない…なぜ?

ネットの情報を信じて購入した個別株がみるみるうちに含み損になっていく経験をしたことはありませんか? これは株式投資を始めて間もない人に多い失敗です。自信満々で買った株の価値が日に日に下がっていくことに恐怖感を覚えてしまう初心者も多くいます。

 

しかし、なぜ多くの人が知っている人気株を買っているのに含み損を抱えてしまうのでしょうか。ポイントは「その株はすでに多くの投資家に買われている」ということです。

 

株価は投資家から買われることで上昇します。もちろんですが、投資家から売られている株式が上昇することはありません。ネットやSNSで見かける株式はほとんどの場合、掲載されたその時点で多くの投資家から買われている株式です。

 

つまり、ネットやSNS、インフルエンサーによって勧められた株式を買うということは「高値づかみをしている」といっても過言ではありません。株式は、それ以上買う人がいなくなったところを天井にして下落調整することがほとんどです。酷な話ですが、口コミで人気株を買う人は高値づかみをすることで他の投資家の利益に貢献し、他の投資家の利益確定による下落に巻き込まれているだけなのです。

プロはSNSやインフルエンサーの情報で「売りどき」を判断

それではプロの株式投資家がネットやSNS、インフルエンサーの情報をまったく見ていないかというとそんなこともありません。

 

彼らは、それらの情報によって「株式の売りどき」を判断しています。プロの投資家は、企業情報やテクニカル分析によって人気が出る前に株式を買い集め、ネットやSNSで企業の情報が出回るころにはすでにその人気企業の株を保有しているのです。

 

手頃な価格で人気企業の株を手に入れたプロの投資家にとって、新規の買いが入るポジティブな情報発信はとても都合のいいものです。それにより株価が上昇している間にプロの投資家が考えることは、「どこで売るか」。基本的に彼らはテクニカル分析によってこれ以上高値を更新することは難しいと判断したところで株を売ります。

 

しかし稀に「SNSやインフルエンサーの話題に上がらなくなったとき」を基準に、人気株の売りどきを考えています。

 

このように、初心者トレーダーは人気株の「買いどき」を探すためにネットやSNSで情報収集するのに対し、プロのトレーダーは人気株の「売りどき」を探すためにネットやSNSを活用しています。

 

この差が初心者とプロのトータル収益の違いを生んでいます。株式投資の初心者の多くはこの事実を知らないままトレードしている事が多く、自分がなぜ収益が好転しないのか路頭に迷う初心者トレーダーが後を絶ちません。