世界の主要国と「年金見込み額」「年金代替率」を比べてみると
日本の年金制度にそって老後を見据えると、肩を落としてしまうようなことしか見えてきませんが、世界と比べてはどうなのでしょうか。
世界主要国の年金見込み額(年金の全支給期間の給付総額が退職前所得の何倍かを記したもの)をみていくと、トップは中国で19.4倍。ルクセンブルク、トルコ、アルゼンチンなどと続きます。このなかで日本は、51ヵ国中44位で7.40倍。先進7ヵ国の中でも最下位でした。
次に年金代替率(退職前所得に対する年金給付額の比率)をみていくと、トップはトルコで103.0%。リタイアしたあとのほうが、多くのお金を手にすることができます。ブラジル、ハンガリー、中国、ポルトガルと続きます。このなかで日本は、51ヵ国中45位で38.7%。リタイアすると、収入は4割ほどになるということ。こちらも先進7ヵ国の中で最下位でした。
【世界主要国「年金見込み額」トップ10】
1位「中国」19.4倍
2位「ルクセンブルク」18.8倍
3位「トルコ」18.3倍
4位「アルゼンチン」16.7倍
4位「ブラジル」16.7倍
4位「オランダ」16.7倍
7位「マルタ」16.6倍
8位「サウジアラビア」16.4倍
9位「オーストリア」16.1倍
10位「スペイン」16.0倍
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44位「日本」7.4倍
【世界主要国「年金所得代替率(税引き後)」トップ10】
1位「トルコ」103.3%
2位「ブラジル」97.3%
3位「ハンガリー」94.0%
4位「中国」92.4%
5位「ポルトガル」90.3%
6位「オランダ」89.2%
7位「アルゼンチン」88.9%
8位「ルクセンブルク」88.7%
9位「オーストリア」87.1%
10位「デンマーク」84.0%
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44位「日本」38.7%
出所:OECD(2020年)
厚生労働省によると、大卒サラリーマンの60代前半の平均は39万2,700円、手取りは29万6,000円ほど。ここで引退して65歳から年金生活に入ると、月に手にするのは14万円ほど。その落差に対応するのは、結構、大変なことかもしれません。
このような結果から、世界的にみて日本は現役時代の給与に比べて手にする年金は少なく、またリタイア前とその後と比較して収入が大幅に下がることがわかります。
もちろん、国によって制度の在り方は異なりますし、日本のように公正・平等な制度ではない国も多くあります。一概に他国の年金制度が優れているとはいえないでしょう。ただ日本の将来性、さらに現役時代と年金世代の格差から、不平・不安を抱きやすい状況にあるといえそうです。
十分とはいえない年金見込み額に、どのように備えるか。若い世代であれば、特に時間が味方になってくれます。できる範囲でコツコツと資産形成を始めるか否かで、将来の安心は大きく変わっていくでしょう。